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「あ………っ……そ…なこと……あうっ……」
天にも昇る感覚をまた味わっている。
はじめは自分の手で抜いてたのに。
今日もまた大好きな豪炎寺くんの口唇に絡め取られて果てた。
こんなことしちゃだめなのに……
でもそれだけじゃ済まない。
「やっ………まだ慣らしてな……」
「大丈夫だ。もうこんなになってる」
「ふぁ……や………だ」
僕の飛沫に濡れた彼の指が、僕の開いた脚の間から抵抗なく中に入って蠢いている。
「もう柔らかくて……締めつけてるぞ」
「あっ…………ぅう」
毎日のように彼を受け入れているそこは、指で内側の悦いとこをなぞられると、物欲しげに痙攣して応えてしまう。
「……可愛い体になったものだな」
豪炎寺くんの言葉は卑猥で意地悪だけど、見つめる目の奥に映る深い愛情と切なさに……僕はすべてを幸せに感じてる。
「お前も俺が欲しいか?」
こくりと頷いて、僕はソファーに座る豪炎寺くんのズボンを下ろして昂る彼のものを丁寧に舐めた。
豪炎寺くんのはいつも僕を求めてそそりたってくれていた。
早く入りたがっているのはわかってるから、反応を見ながら彼に跨がって、僕の内側に猛る熱を招き入れていく。
「くっ……吹雪………吸いついて…気持ちいい」
「はぁ……っ……」
この緊密な圧迫と熱がたえず欲しくて堪らない体にされてしまってるのは、恥ずかしいけど事実だ。
「熱いな……待ってたのか?」
守るように抱きしめられた身体を奥まで貫く熱い塊が、体内を何度も往復する刺激が堪らなく気持ちいい。
気持ちよくて目眩が襲い、何も考えられなくて…………
答えの代わりに甘い啼き声を漏らすと、彼は渇望と充足の入り交じった視線を僕に向けて、僅かに口角を上げた。
「……吹雪……すごく…可愛い」
「ごうえんじ…く…ん………」
激しい動きだけど、身体を支える腕や抑え気味の吐息からひしひしと優しさを感じてる。
「吹雪だけを……ずっと……愛してる」
「………え……」
聞いちゃいけない言葉を耳元で聞き、心が痛むのにやっぱり嬉しい。
でも同時に――こうして破れかぶれな調子で禁忌に踏み込んでいく君を見るのは哀しい。
夕食を運んできたロボット達が、激しく交わる僕らの営みをチラチラと気にかけながら食卓を整えている。
「出すぞ……」
ドクンドクンと体内に響く脈動と僕のお腹の奥に感じる熱。
もう一度「愛してる」と繰り返されて…………
僕は「だめだよ」と力なく首を横に振った。
「夕食…………冷めちゃうよ」
スコールが通りすぎた後みたいに、当然に訪れた心身の静けさと守らぎ。
極力短時間で労って抱いてくれたおかげで、起こした体に負担はそれほど感じない。
「お前も服を着ろ。食事もここで取っていくように」
豪炎寺くんの身体を拭いて着衣を整えた僕に、命令が下る。
この命令がないと、主人の前で服を身に付けてはいけない身分なのだ。
僕はsp04に渡された部屋着を手早く身につけて彼と同じ食卓についた。
「また………勲章が増えてたよね」
向かい合い食事しながら僕が、クローゼットに片付けてきたジャケットの襟章のことを話題にする。
「ああ。この間近隣諸国との経済水域問題解決の優先権を勝ち取ってきたんだ」
豪炎寺くんはスマートに夕食を口に運びながら、落ち着いた口調で答える。
「君のおかげで日本を有利に?」
「俺だけの力じゃないさ」
大したこと無さそうに言うけど、水域の問題は漁業にもエネルギーやレアメタルにも……色々関わる大問題なことは僕にだって分かる。
「でも、君に勲章が与えられるのは大事な戦いを重ねて結果を出してるからだよね」
「まあ……概ねそうだが、それは仕事の話だ」
豪炎寺くんは素っ気なく答え「このシチュー旨いな」と僕に微笑んだ。
国の進退を背負って戦っていることよりも、今は僕と向き合っていることの方が大事だと言わんばかりに…………。
「シカシ、オ気ヲツケクダサイ。問題ガ深刻ナ程 試合ガ重クテ危険デス。今日モ試合開始前ノ スタジアムデ、修也様ノ 襲撃未遂騒動モアリマシタガ ―――動ジルコトナク 決勝点ヲ 决メラレテ……」
「ええっ……襲撃?!」
「sp05、喋り過ぎだ」
そうか…………
国の利害を背負って戦う。
これは、武器を持たないけどやっぱり戦争なんだ。
勝率が高いチームのストライカーの暗殺事件は未遂も含めて各国での日常茶飯事。
そして逆に負ければA級戦犯として糾弾される。
改めてあとで調べて背筋が凍った。
恐れや苦悩をロにせず、豪炎寺くんは国の命運をかけてひたすらボールを追い、ゴールを決めるんだろう。
身の危険に常時さらされながらも。
家族にも会えず、心安まる場も時も与えられずにやっぱり僕だけが、彼の仄かな灯なのかも知れない。
照らすことも、温めることも出来ない徴弱な光と熱しか持たないのに、彼はそれを唯一の希望にしてくれている。
マッチー本にも満たないのだけれど。
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