×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




友人君から見た日常。

「遅くまで手伝ってくださってありがとうございました。助かりました」
暗くなった道を風紀委員会・副委員長の白馬陸斗と同じく風紀委員である吾妻史孝(あづまふみたか)は寮へ向かって歩いていた。


「いや、別に。ヒマだったし」
言葉少なに返事をした史孝は陸斗とは違い、ヒラの風紀委員だったが陸斗とはクラスメイトでもあり親しい友人でもあった。


急な書類仕事を任された陸斗を手伝い、遅くまで作業をしていたが先ほどなんとか終わらせ教師に提出してきたのだ。



「それにしても、あの教師には困ります。急ぎの書類を突然持ってくるんですから」
「確かにな」

以前にも同じ教師からの急な仕事で予定を潰されたらしい陸斗の口調は少々愚痴っぽい。
麗しの貴公子、高値の花と呼ばれ穏やかな物腰を崩さない陸斗といえど、まだ年若い高校生でもあり、口の堅いと信頼している友人でもある史孝には愚痴も言う。



「それに、今日は高雅と夕食を一緒にする約束をしていたのですがね」
そう続けた陸斗の表情はひどく残念そうだった。



陸斗の恋人である神凪高雅については、史孝も以前から知っていた。
茶髪でピアスと規則違反の格好と暴れるのが好きという不良であることから、風紀委員では割と知られた存在であったが、顔立ちだけなら平凡と言っていい高雅が陸斗と恋人になったと知ったときは少々驚いた。


しかし、陸斗から聞く高雅は可愛らしく魅力的な恋人だ。
時折、一緒に居るところを見かけもするが高雅は陸斗を信頼しきったような甘えた様子だし、陸斗も常に張った気をゆるめているようで表情も豊かになっている。



そんな陸斗の様子に、最初は反発していたファンクラブの生徒達も最近では公認して応援もしているようだ。
最初は高雅を恋人だと認めさせるのに、随分過激な手段を使ったらしいとも聞いている。
清楚で可憐と言われていても、その辺りは男子高校生ということだろう。



それ以外にも、仲睦まじい恋人同士の様子に当てられたのか、陸斗と高雅が付き合い初めてから一般生徒にも付き合いはじめる者が増えたとも聞いた。



身近にいる史孝も、もともと恋愛にはあまり興味がなかったはずが、友人のあまりに幸せそうな様子に恋愛もいいかなぁなんて感じはじめているのだ。



「まあ、明日は休みだから明日は一緒に食えるだろ」
「そうなんですが…」
今週一週間は風紀強化週間だったため、なかなか忙しくゆっくり恋人と過ごす時間は持てなかったらしい。
最終日の今日は、ようやく一緒にゆっくりと食事ができるとお互いに楽しみにしていたのだそうだ。


そんな話をしながら寮に着くと、入り口の自販機の陰に人が立っているのが見えた。

そして
「おかえり〜陸斗ぉ。風紀くんも一緒だねぇ」
ふにゃりとした笑みを浮かべて出迎えたのは、今まで話題にしていた高雅だった。


「どうしたんですか?待っててくれたんですか?」
「陸斗は遅くなるから先にごはん食べてて良いって言ってたけど、やっぱり一緒に食べたいなーって思ったから待ってたぁ」

驚いた様子の陸斗に、擦り寄るようにして高雅が告げた。



「あなたって人は…」
そう言ったかと思うと、陸斗は高雅の腰を抱き止せキスをした。


突然間近で始まった友人のラブシーンに、史孝がぎょっとして固まっている間にキスはどんどん深くなっていく。


「あっ、ンァ…りく、」
高雅からこぼれる声に、咄嗟にそちらを見ると赤く染まった首筋や頬、そして艶めかしい表情を浮かべている。

先ほどのふにゃりとした雰囲気とはまるで違う、色っぽいといっても良い状態の高雅に、なにか危ない扉が開きそうだと史孝は理性を振り絞ると声をあげた。

「白馬、それ以上はどっか見えないところにしろ」

史孝の言葉を素直に聞いたのか、それとも気が済んだのか陸斗は高雅を離した。


キスで腰が抜けたのか、ふらふらと力無い様子の高雅を支え、陸斗がこちらを向く。


「神凪先輩のフェロモンがヤバイって聞いたことあったけど、ここまでとは…」

史孝がつぶやいた言葉に、陸斗はにこりと笑って告げた。


「だって、高雅はわたしのかわいいかわいいにゃんこですから。でも、いくら吾妻が気に入ってもあげませんけど」



告げられた言葉に、史孝は軽く首を振って答える。

「お前から奪うとか怖くて無理だよ。そんな気もないしな。それより神凪先輩、ふらふらしてるし早く部屋連れて行ってやったら?」
「そうします。それじゃあまた。高雅、行きましょうか」
「うん…。風紀くん、じゃあねー」


共にあいさつだけすると、陸斗は高雅を連れて部屋へと去っていった。



残された史孝は、盛大に見せ付けられたラブシーンに色々思いつつ、とりあえず食事をするために食堂へと向かったのだった。


(神凪先輩、風紀くんって呼んでたけど風紀委員全員風紀くんじゃないのか…?)



end



吾妻史孝…風紀委員で剣道部員。黒髪の地味系男前。陸斗とはクラスメイトで友人。ちょっと苦労人かも(笑)


200万Hit本当におめでとうございます(≧ω≦)
小説を書いた経験がほとんどなく、ちょっと無謀な挑戦で奏さまの素敵キャラをうまく生かせなかったですが、とても楽しかったです。
オリジナルキャラとして、陸斗の友人くんを出してみました。本編では高校生とは思えないほど、出来たお方なので、高校生だし友達に愚痴ったり惚気たりするかなってことで書いてみました。
本当は史孝くんにも恋人を作ってあげたかったのですが、わたしの力量では不可能でしたΣ( ̄□ ̄;)

参加できてとても良い記念になりました。
ありがとうございました。

これからも『はるうらら』のファンの一人として、奏さまの素敵小説を楽しみにしております(´∀`)



りん様、ありがとうございますー!吾妻君wなんておいしいキャラでしょう!二人のいちゃいちゃを目の当たりにしながらもクールな物言いで言葉を交わす彼にときめきました…!クール攻めイイ(≧艸≦)友人視点、いいですね!相も変わらずの陸斗のバカ親っぷりも、高雅のにゃんこっぷりもによによしながら読みました!(*^_^*)果たして陸斗のあれは、のろけなのか牽制なのか・・・(笑)
企画にご参加いただきましてありがとうございました!これからもはるうららをどうぞよろしくお願いいたします!

[ 41/44 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]