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紫音は混乱していた。
何にかと言えば、広すぎる教室だったり、周りにある明らかに学校の物ではないテーブルやソファだったり、唖然とこちらを見る明らかに不良な見た目の生徒だったりではなく……。
「何でこんなに濡れてるの!?そんなに雨強くないのに………おいっ、ボーっとつったってねぇでタオル持ってこい!!」
「っは、はいっ!!」
「……………」
「身体こんなに冷えてるし……着替え…は俺のジャージでいい?……其処にある俺の鞄持ってこい!!」
「はいぃっ!!」
「…………ぇっと、」
「まずはこれに着替えて。抱えてるのは俺が預かるから………てめぇら、ちょっと出てろ。」
「「「ッス!!」」」
「…………ぇ??あの、」
目の前で自分の心配をし、仲間たちに指示を出していく晴海にだった。
紫音が唖然としている間に彼らは消え、広い教室には文字通り2人きり。
晴海はニコニコと彼の物だろうジャージとタオルを紫音に差し出しているので、そのジャージと晴海を何回か交互に見た後、紫音は小さくお礼を言ってそれを受け取った。
「ん、抱えてたのは……子猫?」
「うん…。林の中で弱ってるの見つけて、震えてて可哀相だったから連れてきたの。」
「何でそんなに濡れてるの?」
「これは、林の中に入ったときに……」
「そっか、わかった。まずは着替えな?俺は何か温かい飲み物とこの子用のミルク買ってくるから。」
「はい……。ぁ、晴海先輩!!」
「ん?」
「ありがとうございます。」
にっこり。
満面の笑顔の紫音に、晴海は固まった。
そして同時に、紫音を改めて見て、また固まった。
濡れた髪は首筋に張り付き、毛先から水滴が流れ、シャツは濡れて身体に張り付き………、
「………っ!!お俺、行ってくるね!!」
「?はい。」
(何あれ!!エロ過ぎでしょ!!)
可愛いと固まってる場合ではない。
一刻も早くここを出なければ自分の理性が危ないと、晴海は勢いよく立ち上がり、扉まで急いだ。
「ぁ、」
そこに、先ほどよりも大きな爆弾が落とされた。
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