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叔母の代理だと話すとその人は唐突に『パターンは決まってるから』と笑って帰っていった。


最初は謎発言でしか無かったそれが、彼の買うパンの事を示していると気付いたのは少し日が経ってからのこと。


工夫が出来たのは彼のおかげかも知れない。



お礼を言いたかったけど初めて会った日以来、あの人の姿は見ていなかった。




放課後。


いつものように仕事を終えて、購買の扉を施錠した。
売上金の入った金庫を持ち、職員室を目指す。


昼食時のパンだけでなく文具も扱う購買だけに、入っている金額は大きい。


いつもの時間。慣れた順路。


でも。


気付けば見慣れない生徒達に道を塞がれていた。


「それ置いてきなー」


「お兄サンの代わりに俺らが運んでやるからさぁ」


ニヤニヤ笑って発したのはそんな命令口調。


それぞれに着崩した制服を身に着けてはいるが、とても学生には見えない大柄な男達。


そんな奴らが3人、平均身長しかない僕を囲うように近付いてくる。


…どうする?
売上金を渡せる筈なんかない。


まさか校内で外部の人間相手の恐喝をする生徒が居るだなんて思わなかった。



ここはそんなに治安が悪い場所では無かったのに。


「……」


口を閉ざし、じりじりと後退しながら周囲を見渡す。


けれど。


何時もなら通るはずの生徒や教師が1人も通らない。


その異変に気付けなかったのは明らかに僕のミス。


まずい。
背中を冷や汗が伝っていく。


「それ置いてくなら何にもしないよ?」


ニヤニヤと相変わらず気持ち悪い笑顔を顔に張り付け近付いてくる男達。


…気色悪い。


「おい、逃げんなよ」


後退している僕に気付いたのか、男の1人が此方に手を伸ばしてきた。



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