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春の気づき

「当選おめでとう、また『委員長』になったね。今度は風紀のだけど」
「ありがとうございます、春乃様」

僕、一颯、一颯の友達、あと委員長は兄様と同じ高校に進学した。
見た目だけは兄様とそっくりに成長した一颯は生徒会に入り、今回会長へ信任された。
それと同時に委員長は風紀委員長になることが決定。
今では喧嘩しながらもお互いを認め合っている2人だから運営上心配はないだろう。

「それにしてもはるのんも生徒会に入ると思ってたよー」
「いが〜い」

そういって委員長と僕の間にバタバタ割り込んでくる一颯の友達ズに呆れながら、
その後ろに一颯を見つけて安堵の息をついた。

「よう、すげーだろ、やっと兄貴に追いつけたぜ」
「あたりまえでしょ。会長になるくらいで兄様に追いつけたとか馬鹿じゃないの?
しっかり任期満了してやっと足元に辿り着いたぐらいなんだから」

はるのんキッツ〜イとか喚いている3人を無視して委員長に向き直った。

「春乃様…やはり風紀に入ってくれる気はないのですか?」

予想通りの質問。
生徒会に入らなかったのは委員長から風紀に誘われているからだ。
風紀は腕に覚えのあるものが多いけど、頭脳戦だって必要となってくる。
委員長はそのポジションに僕を推薦してくれたけど

「その話は前にも答えたよね。答えは前と同じ。僕は辞退させてもらうよ。
じゃ、僕は用事あるから。」

委員長にはっきりとそういうと、踵を返してある場所へと向かった。
生徒会しか入れない温室の横。
そんなところに来る人なんてほとんどいないが、近づくと小さな影が1つ動いた。

「御足労ありがとうございます、綾小路様」
「綾小路様はやめてよね、一颯と被るじゃん」

温室の陰から出てきたのは高柳楓先輩、委員長の親衛隊隊長だ。
1学年上で僕らが中等部のころから委員長の親衛隊長をしている。
あの事件の後から委員長とはよく話すようになった。
必然的に高柳先輩とも関わる機会が増えたので顔見知りである。

「で、何?こんなところに呼び出して」
「…気づいてますよね?委員長様のお気持ち」
「…」
「あなたは卑怯です。気持ちに気づいていながらお答えにならない。それじゃいつまで経っても委員長様の心はあなたに囚われたままです!
綾小路様にとって委員長様はなんなんですかっ!!
僕は…僕は委員長様に告白します」

いつもおっとりしている高柳先輩が思いつめたような顔つきをしたかと思うと堰をきったように叫んだ。
ギュッと握りこんだ手がプルプルと震え、泣きそうになるのをこらえているようだ。

「僕にとって委員長は…」

そこまで考えて僕は言葉を失った。
一颯ほど鈍くないし、委員長の気持ちはもちろん気づいている。
いつもそばにいる存在。
だけど恋愛感情かと問われれば素直にYESと言えるのだろうか。

頭の中でいろんな人を思い浮かべる。
父様、兄様、一颯、一颯の友達…
考えてみるけどどれにも当てはまらないような気がする。
一番近いのは一颯や一颯の友達だけど、委員長は一颯の友達じゃない。

風紀副委員長を打診されて最後まで悩んだのは…
傍にいたいけどいたくない、そんな気持ちに戸惑ってしまい最後の最後で委員長の誘いを断った。

「僕は…」「そこまでだ」

聞きなれた声に振り向くと、委員長がこちらに走ってくるのが見えた。

「高柳先輩、あなたが春乃様に対して制裁を行うとは思いませんが、こんな場所に連れだして何かあったらどうするんですか。春乃様だけじゃない、あなたも危ないんですよ。」

心配そうなセリフとは裏腹に口調は強く高柳先輩を責めている。
その言葉で委員長に心配をかけちゃったんだなと気づいた途端、
先ほどの高柳先輩に答えられなかった僕はこんなに委員長に気にしてもらえる存在じゃない。
そう思って心がズキッと軋んだ。

「委員長様。お話があります」
「ん?なんだ?」

高柳先輩は委員長に声をかけると、さっきまで僕に向けていた真剣な瞳を委員長に向けた。
一途に委員長を思い続けてきた高柳先輩。
いつまでも答えを出さない僕より高柳先輩のがいいと委員長が思ってしまっても不思議じゃない。
心に焦燥感が駆け巡る。
言うな…っ!!
聞きたくない言葉を遮るように2人に背中を見せた。

「お話は…綾小路様からです。よく聞いてあげてください」

そう言うと高柳先輩は僕に軽く微笑んで「さっきの答えを言ってあげてください」と一言言い残しその場から去って行った。

「春乃様?お話とは?」
「ちょ、ちょっと待って!」

2人きりになってしまった温室の横で僕の頭の中はパニックになっていた。
さっきは何を考えていたんだっけ?
あーでもないこーでもないと考えるけど上手く答えが見つからない。

「春乃様?」
「…めて」
「え?」
「その『春乃様』っていうのをやめてくれない。…友達なんだから」
「しかし、私は春乃様の奴隷で…」
「奴隷は今日で終わりっ。
あのね、僕には友達がいないの。一颯はおにいちゃんだし、いつもまとわりついてくる2人は一颯の友達。クラスメイトは綾小路の名前に一歩引いたように接してくる。
だから…だから僕の初めての友達、なってくれる?」
「っ!!もちろんです!」

高柳先輩の答えではないけど前々から思ってたことを勢いに乗せて言ってみた。
友達っていうだけで手は震えるし、口はカラカラ。
高柳先輩の質問にはまだ答えれないけど、その答えが出るまでは、もうちょっと僕の『初めての友達』でいてよね。

一颯と一颯の友達が来るまであとちょっと。
兄様、一颯が唯一を見つけたように、僕もあとちょっとで見つけれそうだ。


end


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200万&一周年おめでとうございます!!
いつもコソコソお邪魔させてもらっていたけど企画参加しちゃいました。
そしてギリギリになってしまい本当にすみません。

春のおはなしから委員長×綾小路春乃です。
高校生バージョンっす。
なんだかグダグダな感じになっちゃってますが愛は詰め込みましたのでもらってくださいーっ!!

あと、春のおはなしでチラッと出てきた親衛隊長に名前付けちゃいました。
オリキャラということで勘弁してください。
○高柳楓
委員長(最後まで名前無/笑)の親衛隊隊長
学年は1つ上。おっとりとした雰囲気を持っているが、意外と情熱的。
委員長が好きだが、委員長の恋心を知って身を引いてしまうような性格。



出雲様、ありがとうございますー!まさか…、あの(笑)委員長を気にしてくださる方がいらっしゃっただなんて…!しかも彼、本編の最後で奴隷になっていたとおり高校になっても忠実にはるのんの奴隷を貫いているんですね。一途です。健気です。おいしいです(*^_^*)そしてそして、親衛隊長…!彼もまたなんと健気な!はるのんもまだちょっと恋に進むには臆病なところが、あいかわらずはるのんです(#^.^#)
企画にご参加くださいまして本当にありがとうございました!これからもはるうららをどうぞよろしくお願いいたします!

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