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物語の結末は

「は、英くん!好きです!」

「ありがとう」

 そう言って優しく微笑んだアイツを見ていられなくて、オレは駆け出した。


『物語の結末は』


 行き先も考えず闇雲に走る。だから、前から走ってきた人に気づかなかった。

−ドンッ

「痛っ…」
「すまない、大丈夫か?」
「いえ、こちらこそすみません…」
 ぶつかった相手が差し出した手を取り立ち上がる。

「あ…小暮さん…」
「あ、ああ…」

 いきなり名前を呼ばれ、ぶつかった相手−小暮さんが不思議そうに首を傾げる。今や知る人ぞ知る有名人だ。そして…オレ いきなり名前を呼ばれ、ぶつかった相手−小暮さんが不思議そうに首を傾げる。今や知る人ぞ知る有名人だ。そして…オレの憧れの人。
 思わず名前を呼んでしまったが、続く言葉が思いつかない。
「あの…その…」
「小暮!」
「あ、綾小路…」

 一人パニックに陥っていると、綾小路会長まで現れさらにパニックから抜け出せなくなる。

「…誰だ、彼は」
「えっと…」
「初めまして!村井 蓬(むらい よもぎ)です!ずっと、小暮さんに憧れてました!」

 だから会長の不穏な空気に気づかないまま、小暮さんに思いの丈をぶつける。

「前から知ってたんですが、この頃会長と付き合い始めたって…しかも、その…ネコだって知って…」
「おい、お前、小暮をねら…」
「オレも頑張ってみようって、勇気をいただけました!ありがとうございます!」
「小暮はオレだけの……ありがとう?」

 一気にまくし立て、息を吐く 。そこでようやく少し冷静なり、小暮さんとともに不思議そうにしている会長に気づいた。

「す、すみません、いきなり…」
「とりあえず…『ありがとう』の理由を聞いて良い?」
「あ、はい!」
「…その前に、小暮から手を離してもらおうか」

 慌てて握ったままだった手を離す。

「すみません!実は…オレ幼なじみのことが好きなんですが、オレの方が背が高くてガタいがいいんです…だけど、オレ…その抱かれたいって思ってしまって…」
「なるほど。確かに身長、俺と変わらないし、俺より筋肉質だもんな」

 怒りが収まってきたらしい会長がオレをまじまじと見つめる。

「それに、幼なじみは園芸部で、よく可愛らしい花ばかり育てて…花と人の好みを一緒にするのはおかしいのかもしれないんですけど…」
「だけど、不安になってしまうんだな」


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