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「健気なきみにキス」

健気な笹山くんが好きなので、ついつい書いてしまいました、「いたずらっこにキス」よりタイトルは「健気なきみにキス」です。駄文失礼します!



すこしだけ
ほんのちょっとでいい

あなたを独り占めしたい

ねぇ、たとえば

俺に触れるあなたの指先

それだけでも
俺だけのものだと
自惚れてもいいですか?


***


気だるい朝も
タイクツな授業も
今日は全然気にならない

だって、

「せんせの家にお泊まりできるの久しぶりだぁ」

誰に言うわけでもなく呟く。
気がついたらスキップしてしまいそうなくらい。俺はふわふわと浮かれていた。


はやく、
はやくあなたの元に帰りたい。

俺にとってせんせの傍が一番安心できる場所なんだ。


早く時間よ過ぎろーと念じていたのでその日の授業はちっとも頭に入らなかった。


***


「せんせの部屋〜!」

俺いまとってもだらしない顔してると思う。

ソファーの上のクッションをぎゅうぎゅう抱き締めるとせんせの匂いがして、ちょっぴり泣きたくなるくらい幸せになった。

「笹山喜びすぎ」

せんせが苦笑しながら飲み物を出してくれる。

「ん…、うっとおしい?」

俺ひとり浮かれてるみたいで不安になって訊いてみると、

「かわいいよ」

と言って額をこづかれた。こんなやり取りでも嬉しくなるなんて俺ってかなり乙女思考…。


その後は、まったりして、夕飯食べて、お風呂入って、せんせに愛されて、満たされた休日を過ごした。


***


朝、目が覚めると
せんせは隣に居なかった。

それだけの事でどうしようもなく寂しくなる。

俺、せんせと付き合う前よりもっと欲張りになってる。

独占、したいとか。
全部、せんせの全部が欲しいとか。出来もしない、果てしないことを思ってみたり。


「起きたか、おはよ笹山」

せんせが部屋に入ってきた。その手には封筒とチラシそれから新聞。どうやら郵便物を取りに行ってたみたい。

「おはよ、せんせ、起きた時にせんせがいなくて寂しかった。」

暗に、起きるまで傍にいて、とも取れる、我が儘なセリフ。

俺は、せんせと付き合う前よりずっと我が儘にもなった。

でも、俺が我が儘言ってもせんせは、ちょっと呆れた顔をしながらも頭をなでて、微笑んでくれるから、俺のどうしようもない子供っぽい所も、可愛いって言ってくれるから、

だから、

俺だけを見て
脇目もふらず追いかけてきてそうしてずっと捕まえてて欲しい

とか

思ってしまう。


でも、ダメ。
せんせを困らせたい訳じゃない。
ほんのちょびっと
せんせの心の隅っこに
俺を
置いていてください。

「ゴメンな、笹山が起きる前に戻るつもりだったんだが。」

そう言ってやっぱり頭をなでてくれる、指先。愛しい。

「朝飯できてるから、食べようか」

「うん」

せんせの愛に包まれたベッドを抜け出して、せんせに抱きついた。

***


朝御飯を食べ終えて、ゆったりくつろいでいると、せんせはさっき取って来ていた大きめの封筒を取り出した。

「大きい封筒だね、誰からの?」

「実家からだな、何だろう」

封を開けて、中身を取り出す。中に入っていた冊子を開く。


息が、止まった。


「…お見合い、写真……?」

茫然。

そうだ、せんせは、男前で、カッコよくて、優しくて、人気者で、
女性なら、いや、きっと男性でも放っておかない。

それに比べて、俺はと言えば、

不良で、特に良い所なんて無い。
このお見合い写真の女性は、美しくて、写真からでもその気品の良さが伝わる。


どっちがせんせにとって、良いか、なんて、

一目瞭然。

でも、
それでも、


「いや…っ」


俺は、せんせの腕にしがみついた。

「せんせ…どこにも行かないで…。おれ、欲張りだけど、もう、ワガママなんて言わないから、せんせが俺の傍にいなくても、誰の所にも行かないでくれたら、それだけで良いから。

でも、ひとつだけ、
お願い、おれ、なんでもするから、だから、

少しでいい

ほんの少しだけでも、せんせの気持ちを俺に向けて」

なんて、
みっともない
泣いてすがりつくなんてばかみたい。


「笹山」

声をかけられて、ハッとなる。

「俺が愛せるのはお前だけだ」

突然の告白に吃驚して、せんせの方を向くと、真っ直ぐな瞳をしたせんせが、俺を見つめてる。


「……俺なんかでホントに良いの?きっとこの女の人の方がもっと、ずっと良いひとだよ…?」

でも、こんな事言っておいて、せんせに離れていって欲しくない。

「そうかもしれない」

ズキ

痛い
お願い、そんな事言わないで。

言わせておいてなんだけど、そんな言葉聴きたくない。

どうか、どうか、

言って

一言でいい。

たった一言、

俺の方が良いって、


お願い――――…

「でも、俺が好きなのはお前だ、共に生きていくなら、お前がいい。良い人だろうが悪い人だろうが関係ない。


お前が好きなんだ、冬威。

好きで好きで、愛してるんだ」


心臓、張り裂けるかと思った。

「あ…」

ぼろぼろぼろ

涙が、

「お見合いは、勿論断るけど」

せんせの指が俺の涙をすくう。

けど、なに?

「お互いの親に、紹介しような。近いうちに。」

「……ふぇ?」

「情けない話、コレ見るまでお前を親に紹介する事忘れてたんだ。大事なひとなんだからちゃんと言うべきだよな。お前との毎日が楽しすぎて全然気づかなかった。」

「え?、え?」

「大事な子供を嫁にもらうんだ、お前の親御さんにも挨拶するべきだったのに」

混乱。

だけど、

「こんな俺を貰ってくれるの?せんせの親は許してくれるか分かんないよ?俺、不良なのに」

おれは、せんせの隣にいられる?

「何言ってんだ、お前。俺のためにちゃんとした格好した事あっただろ?相手のためなら自分を変えられる人間を、それほど想ってくれるひとを、認めない訳ないだろ?」


ああ!

なんであなたはこんな俺に、俺が欲しい以上のモノをくれるの?

とうとう涙腺が崩壊してしまった俺を、せんせが抱き締めてくれる。


「な、あいしているよ、冬威。もっと我が儘言って良いんだ、お前は俺の恋人なんだから。ほんのちょっとの愛なんかやらない。その代わり、ありったけの想いをお前に、お前だけにやる」


だから、ずっと傍にいて、

俺をあいしてくれ。


そんな甘い我が儘。
聞けないわけがないよ。


「ふぅっ…ひっく……だ、だいすきだよぉ…

愛してるよ…多紀さんっ……」


慣れていない名前呼びをしてみたら、額にキスしてくれた。

それから頬っぺた、鼻、最後に唇とキスを落としていった。


ごめんね、やっぱり
ほんのすこしなんて足りないや。
俺の、持てるだけの愛をあなたに差し上げる。

だから、
もっとたくさん、愛してください。



鳩羽様、ありがとうございますー!
笹山くん、相も変わらず先生溺愛の安定のかわいらしさ…!人様の手で我が子が愛らしく描かれているとニヤニヤしてしまいます!(#^.^#)先生、とうとうプロポーズしましたね!大事にしろよ幸せ者!(≧▽≦)
企画にご参加いただきましてありがとうございました!これからもはるうららをどうぞよろしくお願いいたします!

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