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相思相愛バレンタイン

※相思相愛最強ラバーより

清白弥彦
金谷光矢
天王寺大海(てんのうじひろみ)/生徒会長
獅童大地(しどうだいち)/風紀委員長


王道くん騒動から半年、二年に進級した俺と光矢は今、同じ部屋で相変わらずラブラブ生活を送っている。
実は牽制の為に渡した俺の名刺を見た風紀の副委員長が、隠れ風紀委員に入ってくれって頼んできたんだよねー。まぁ緊急時に動くだけらしいから殆ど名前だけなんだけど、それでも光矢との時間が減るから最初は断ったわけ。
そしたら風紀委員長が二年と三年の二年間、光矢と同室にしてくれるって言うから引き受けてしまった。風紀委員長、絶対副委員長に脅されたな。だってあの時の委員長の顔は思い出すと未だに笑っちまうし。きっと目には見えない首輪とリードがあったに違いない。あれはワンコ扱いじゃねぇよな。躾の一環だろ。
いかん話が逸れた。まぁそんな訳で俺の生活は光矢で始まり、光矢で終わる。でも今日は…。
「弥彦?」
寝室のドアが開いて光矢が起きてきた。おっと、昨日ちょっと激しくしたから(毎回か)いつもより声が掠れてて色気がだだ漏れですよ光矢くん。
「光矢、おはよ」
「ん、はよ」
まだ完全に覚醒してないのか、ふにゃって笑って抱き着いてきた。あぁ、尻尾フリフリして可愛いなぁ。
「今何時?」
「まだ8時」
「よかった。まだゆっくりできるよな?」
「うん。それより朝ごはん用意できたから食べよっか」
「ん」

今日は弥彦の道場主催の大きな大会がある。師範代を勤める弥彦は審査員として行かなければならないらしい。それは三ヶ月位前から聞かされていたから分かってるんだけど、本当はやだった。ずっと一緒にいてほしかった。だって今日は…。
「じゃあ光矢、俺が帰ってくるまでいい子にしててね」
「ん、待ってるから。早く帰ってきてくれよ?」
寂しくて思わず弥彦の上着をきゅ、と掴むと、上から弥彦の手が重なった。
「寂しい?」
耳と尻尾が垂れてる、ってからかわれて、コクコク頷きそうなのをぐっと堪えてブンブンと首を横に振った。でも弥彦にはモロバレみてぇだ。
「夕方には帰るから。夕飯、楽しみにしてるからね?」
チュッと唇に当てるだけのキスをして弥彦は部屋を出ていった。
「やべぇ…いってらっしゃいの、ちゅー…」
残された俺は顔を真っ赤にして暫く玄関に立ち尽くした。

「さて、やるか」
ちょっとお花畑(笑うな)にトリップした脳をリセットして準備に取りかかる。
食器を流しに置いて、自分の部屋から持ってきた袋を漁る。
出したのはチョコレート。そうだ、今日はバレンタインなんだよ。勿論、手作り。同室になってから朝飯は弥彦(朝は弱ぇーんだよ俺)で、夕飯は俺が作るパターンなんだけど料理に対してどうも素質があったみたいで結構レパートリーが増えた。
だから、今回初めて菓子なんかを作ってみっか、と思ってさ。
作るのはチョコレートムースタルト。一応弥彦が風紀に呼ばれた時に予行練習済み。
初めて作るには難易度は高かったがわりかし上手くいったからたぶんイケるだろ。
チャチャッと作ってバレンタインディナーもやんねぇとな。期待してるって言われたらそりゃ頑張るしかねーよな。
*****
「あーやっと着いた」
学園に着いてタクシーを降りて大きく伸びをする。
今日は光矢を置いてきて正解だった。光矢をウチの道場に何度が連れてきたことはあるけど、連れていく毎にウチの奴等(門下生)からの人気が上がってる気がする。今日だって「金谷さんは一緒じゃないんですか」って何人に聞かれたか。しかも今日はいないと分かった瞬間の奴等の落胆さといったら。
ま、大事な大会前に邪念を抱くとは何事かと特別にウォーミングアップメニューを追加してやったけど。はは、泣きながらきっちりこなす辺りあいつらも流石だったなぁ。
「おい清白」
昼間のことを思い出しながら寮の玄関をくぐると、不意に誰かに声をかけられた。
「なんだ、会長か」
「てめ、なんだとはなんだ」
いやいや、そのまんまですけど何か。
「ちょうどいい時に通ったな。これやるよ」
本当にちょうどよかったのか些か疑問だが、会長は小さな紙袋を渡してきた。
「何ですか?これ」
封がぴっちり止めてあり、中身を確認できないが、綺麗にラッピングされた紙袋を不審げに見つめる。
「開けてからのお楽しみだ。あ、そうそう。金谷と一緒に開けろよ?」
用事はそれだけだ。じゃあな、と会長はそのままどこかへ行ってしまった。
「ホントになんだったんだ…?」
手渡された紙袋は異様に軽いし、実は何も入ってないとか?と試しに振ってみたが、何か音はするから恐らく空ではないだろう。
「ま、いいか」
ここで深く考えても仕方ないから丁度下りてきたエレベーターに乗り込んだ。

「ただいまー」
部屋に戻り靴を脱いで中に入ると直ぐにいい匂いがしてきて胃を刺激された。
「あっ!おかえり弥彦!」
キッチンからひょっこり顔を出した光矢に笑顔になる。
うん、可愛い。
内心デレデレしながら両手を広げた。
「おいで、光矢」
ワンッと聞こえてきそうな勢いで光矢が抱き着いてきた。それはもう、「マテ」を解禁されたワンコみたいで、あぁっ!もう尻尾ブンブン振って可愛いったらねー!
「ただいま。いい子にしてた?」
「あぁ。部屋から出る用事もなかったしな」
ワシワシと頭を撫でてやると、もっと撫でろといわんばかりに頭を押し付けてきた。
「それはそうと光矢、随分可愛いの着てるよね」
「う……」
光矢の服装はTシャツにジーンズと、至ってシンプルなものだが問題はその服の上に着ているエプロンだった。
胸当て部分には一輪の大きな向日葵の花が太陽のようにプリントされていて、腰回りは小さい向日葵がたくさん咲いているように、可愛くフリルにしてあって、スカートにも見える。たすきは黄色のリボンを背中でバッテンして後ろでちょうちょ結びというものすごく可愛いデザインだ。
可愛い。超可愛い。何度でも言おう。可愛い。
「やっぱ、こんな、似合わねぇ…よな…」
ハッと我に返ると光矢がシュンとしてちょっと泣きそうになってて慌てる。
「何言ってんの。すごく似合ってるよ。今だって光矢が可愛すぎて見惚れてたんだぜ?」
「ホントか?」
あぁ、そんな嬉しそうな顔なんかして上目使いまでして俺の下半身直撃ですよ。
「これさ、弥彦のママさんが昨日送ってくれたんだ」
「母さんが?」
そういえばこないだ夏に実家に行った時、ちょうど庭に向日葵が咲いてて光矢に似合うと言ったな俺。
まさか聞かれてたとか。うわ母親に聞かれるとか恥っずかしー!
しかし似合いすぎる。光矢の魅力を最大限に引き出してると言っても過言じゃない。さすが母さん。光矢を一目見て気に入って「卒業したららすぐに式を挙げるわよ」って目ぇキラッキラさせて言ったもんな。
これは裸エプロンでも全然いけr
「なぁ弥彦?」
「はいっ!何でしょうか!」
ぅおっとぉ!ビックリしたァ!
「どうしたんだ?弥彦」
「ナンデモナイヨ!」
まさか脳内で既に光矢を裸エプロン姿にしてあんなことやこんなことをしようとしてたなんて死んでも言えねぇ!焦る俺の様子を不審げに首を傾げながら光矢は「変な弥彦」って笑った。
「ところで飯にする?風呂に先入りたいか?」
そこはそれとも俺を食べる?って聞くとこ…いや、やめておこう。
「お腹空いたからご飯にしようかな」
「ん、じゃあすぐ準備すっから着替えてこいよ」
「そうするよ」

「ご馳走様。美味しかったよ」
「よかった。紅茶でも飲むか?」
「うん、もらおうかな」
今日の夕飯はいつもより豪華だった。今日はなんかあったっけ?
「弥彦、紅茶淹れたぜ」
「あぁ、ありがとう」
光矢の声に考えを中断すると、目の前にあったのは紅茶が入ったティーカップと
「チョコレート?」
小皿に乗った5センチくらいの大きさのチョコタルトに目が釘付けになった。表面の隅っこに飾り付けされた小さいピンクのハートはピンク色の粉砂糖を振りかけてある。
そうか、今日は…
「バレンタイン…」
そう呟くと光矢は照れたように頬を染めて顔をそらした。
「弥彦いなくてつまんなかったから、作っただけ」
「光矢ーー!!」
がばぁっ!
「ぅわっ」
「ありがとう。すごく嬉しいよ。あー光矢可愛い。可愛い光矢がこんな可愛い格好で可愛いことしてくれちゃって俺の可愛い光矢はどこまで行くのさ」
光矢の金色の頭を胸に抱き込んで上から頬をぐりぐりと擦り付ける。
「や、弥彦っ可愛い言い過ぎだって!」
「恥ずかしがる光矢も可愛い…」
「ダメだ聞いてねぇ…」
やだな、聞いてるよ。頬の緩みを抑えつつ、これからどうしようかと思ったら光矢が俺のシャツをクイクイと引っ張った。
「なぁ、あのチョコさ、ムースだから置いとくと溶けちまうし、折角作ったんだから食べようぜ?」
「そうだな、食べよっか」
光矢が初めて作ったチョコレートムースは食べるのが勿体ないくらい綺麗に出来ていて、味も本当に美味しくて、二人で食べさせあったりして大切に食べた。
作ってくれたお礼に片付けは俺の担当。光矢はその間に風呂に入りに行った。
それにしても共学バレンタインなんてすっかり忘れてた。大会のことで頭いっぱいだったし、こんなことならプレゼントくらい用意すればよかったかな。
「…あ。」
濯ぎ終えた食器をカゴに入れて手を拭きながら玄関脇に置きっぱなしだった会長からもらった紙袋の存在を思い出した。
「まさか、これもバレンタインに因んでとか?」
あの会長が?うーん分っかんねぇなぁ。でも最近会長の雰囲気変わったよな。光矢にちょっかいかけなくなったし。
「弥彦、お先」
湯上がりのせいでほわほわと体をピンクに染めた光矢が風呂から出てきて、紙袋をぞんざいにテーブルに置いて水滴を垂らす光矢の髪を拭いてやる。
「こら光矢、ちゃんと拭かなきゃダメだろ?」
「んっ、だって」
「ちゃんと乾かせれたら、後でうんと可愛がってやるから、な?」
「あ、ぅ…」
わざと甘く耳許で囁くと、光矢は頬を赤くしてコクリと頷いた。
俺ってこんなキャラだったか?

「光矢〜お待たせ」
風呂から上がると光矢は部屋ではなくリビングのソファーに座っていて、何だか元気がないように見えた。
もしかしてそんな気分じゃなかったかな?光矢が嫌なら別にシなくてもいい。セックスしなくたって光矢を愛する方法はいくらでもある。
でも今はその浮かない表情の理由を知りたくて。
「どうしたの?」
光矢の隣に腰を下ろすと、ビクリと肩を震わせてスッとテーブルを指差した。そこにあったのは
「…あ。」
忘れてた。会長からもらった紙袋。
「俺の他にプレゼントもらったのか」
うるうると今にも泣きそうな光矢に迂闊な自分を悔やんだ。こんな顔させるならもらわなきゃよかった。
「違うよ光矢。確かにこれは今日もらったものだけど、光矢と開けろって会長がくれたものなんだ」
「会長から?」
意外な名前に光矢がキョトンとする。
「本当。じゃ今から開けてみる?」
ベリッ
「「…………ナニコレ」」
*****
※会長視点
「よう天王寺」
「獅童か」
突然鳴った部屋のインターフォンに誰だと思いつつ腰を上げるとそこにいたのは風紀委員長の獅童だった。
「アレ、清白にやったんだって?」
「あぁ。持ってても仕方ないしな」
「そうか?俺はアレを着けたお前に期待したんだがな」
ニヤリと余裕たっぷりに笑う獅童に「ふざけんな」と睨み付ける。
「誰がお前なんかの為に着るか」
「いいじゃねぇか。総レースのTバックなんて今日かクリスマスくらいしか着ねぇだろ?」
そう、俺が清白に渡したのは男性用の下着だ。それも総レースのTバック。るせぇ、誰だ変態だっつったのは。本当は金谷に贈るつもりではあったんだが、あの二人を見てると割り込む気持ちになれないというか、そのまま傍観しててもいいか、って思えてな。だからあれは俺から二人へのプレゼントだ。
「今頃あいつらヤってっかな」
「…知るか」
そりゃヤってるだろうよ。どんだけエロいの選んだと思ってんだ。
「なぁ大海。俺と付き合わねぇ?」
「……」
「俺は望みのない告白はしない主義でな。後悔させないぜ?」
そうだ。コイツ…獅童は金谷を気に入ったくせに清白に敵わないと分かってからすぐに手を引いた。それから暫く大人しかったが何故か俺にちょっかいをかけ始めた。でも俺はまだ金谷を…。
「好きだ。大海」
なかなか返答しない俺を獅童が抱き締めてきた。いつもならすぐに突っぱねるのに、どうしてか跳ね返すことが出来ない。
コイツの、心臓の音がものすごく速かったから。
こんな余裕そうな顔して実は緊張してるとか、そう考えたら俺を覆っていた何かがガラガラと崩れだした。
「ふん、従順な俺様を期待しないことだな」
「は、上等じゃねぇか」
「途中で飽きたとか抜かしやがったら不能にしてやる」
「そんなセリフ死んでも言わねぇよ」
俺を抱き締める獅童の腕が心なしか小刻みに震えている。
「しょうがねぇな。お前のものになってやる大地」
「なら俺もお前のものだ大海」
お前しか見えなくなるくらいに。合わせた唇に飲み込まれた想いはまだ闇の中。

「ん…」
腕の中で身動ぐ光矢の額にチュッとキスをする。
ホント、あの中身には参った。光矢なんか理解するのに数秒かかった挙げ句、真っ赤になってワタワタし出すし。見ていて可愛かったけど、すげぇな会長。よくあんなエロい下着用意したよな。赤いレースのTバック。あれでちゃんと男性用というから驚きだ。
穿いてくれたら嬉しいなーなんて期待して光矢にお願いしたら、恥ずかしそうにぷるぷる震えながらもちゃんと穿いてくれて、それが似合うのなんの、あまりにエロすぎて速攻で理性がなくなって滅茶苦茶に抱いてしまった。光矢も過去最高に乱れてイキまくったと言ってもいいかもしれない。
もうホント、光矢といればいるほど愛しさが増していく。抱けば抱くほど光矢に溺れる。光矢は俺でなきゃイケないって言うけど、俺だってそうだ。光矢じゃなきゃイケなくなってる。
思えば光矢を初めて見たとき綺麗だな、って思った。金谷光矢、その名の通り艶々に染められた金色の髪に自分を偽らないまっすぐな性格は正に光の矢のようで。
全身で俺を愛してくれる可愛い光矢。俺だけを見ていてくれる俺だけの向日葵。
「ありがとう。光矢」
俺に好きだ、って言ってくれて。
俺を好きになってくれて。
この先何があっても君を守るよ。
だからずっと俺だけを見ていて。
そう願いながら幸せそうに弧を描いた光矢の唇にキスをした。

終わり


あとがき
こんにちは。いちごあめと申します。
この度は200万打&一周年記念、まことにおめでとうございます!
今回このような企画に参加させてもらって嬉しいのとお目汚しにならないかと、ドキドキしております。

少しでもお気に召して頂ければ幸いです。

これからも応援していますので、奏さまのペースで更新を楽しみにしています。

ありがとうございました。



いちごあめ様、素敵なお話ありがとうございます!
相変わらずの相思相愛な二人に、風紀委員長×会長のフラグ…!うはうはしながら読ませていただきました!
光矢、どんだけかわいいんでしょう。なぜ不良をやっているといいたい(笑)うちのサイトは溺愛の甘々が多いですが、この二人は5本の指に入るぐらいお互いが溺愛ですね(#^.^#)なんだかんだで弥彦の言うこと聞いちゃう光矢、最高です。

この度はご参加いただきまして本当にありがとうございました!
これからもはるうららをどうぞよろしくお願いいたします!

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