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桂奈様からのリクエストで『「美形生徒会長×平凡で切→甘々」』です。
裏はあっても無くても構わない、とのことでしたので今回は裏なしで作成させていただきました。
いつもより少し短めのお話ですが、楽しんでいただければ幸いです。
がんばります!
ではどうぞ♪
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「よう、相変わらず冷めた面してんな。」
図書室で一人静かに本を読んでいると、ふと影が差した。顔を上げるとここ最近で見慣れた顔がにやにやと食えない笑みを浮かべ俺を見下ろしている。
「相変わらず一人ぼっちか?寂しい奴だな」
言いながらイスを引き、目の前に腰掛ける男はこの学園の生徒会長だ。超絶な美形で、頭脳明晰、運動神経抜群。もひとつおまけに超金持ちの二物どころか三つも四つも兼ね備えた全校生徒憧れの男。だがしかし、そのせいで彼は非常に傲慢で俺様なのだ。
初めてこの図書室で会ったときは、自分が後からきたくせに俺に向かって
『チッ、こんなとこまで先回りして待ち伏せすんなよ。悪いがお前みたいな平凡なやつは相手にしねえよ』
と睨んできた。
俺に言ったみたいだけど何の話か全くわからなくて目をぱちくりとさせてじっと会長を見て考えてみたんだけどやっぱりなんのことかわからないし、俺には関係ないかと思って返事をせずに本に目を戻したらいつの間にやら会長が前にいて、身を乗り出して不機嫌極まりないといった顔で俺を見ていた。
『何てめえ知らぬ存ぜぬみてえな顔して無視してやがる。聞いてんのか?お前がいくら望んでも抱いてやらねえって言ってんだよ』
やっぱり俺に向かって言ってるみたいだったので俺はとりあえず返事するか、と口を開いた。それが、間違いだったんだけど。
『すみませんがおっしゃる意味がわかりません。』
俺がごめんなさい、と頭を下げると会長はさっきの俺以上に目を丸くしてじっと見つめてきた。
『…そんなこと言ってとぼけた振りして俺の気を引こうってのか?』
『いえ、別にあなたの気なんか引きたくないです。むしろ騒がしいのは嫌いなんで、できれば関わらないでいただいた方がありがたいです』
我ながらひどい答えだとは思ったけど、会長はファンがすごく多くていつも注目を浴びている。会長に近づくものはたちまち周囲から悪意ある眼差しを浴びるのだ。こんな人が平凡な俺に関わったら、間違いなく俺は学園中を敵に回す。
そんなめんどうごとはまっぴらごめんだ。静かに楽しく学園生活を送りたい。
『てめえ…!俺に向かってよくもそんな…!』
会長は俺の言葉を聞いて、顔を真っ赤にしてプルプルと震えていた。
だが、次の瞬間。握っていた拳を机に叩きつけ、口角をあげた。
『…おもしれえ。てめえ、俺に惚れさせてやるよ。』
『は?』
『そのすましたツラが気に食わねえ。俺にドロドロに惚れさせて、生意気な口きいたこと後悔させてやるよ。』
覚悟しろ、と不敵に笑う会長を見て、俺は自分が選択肢を間違えたことにやっと気がついた。
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