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14

その後。五時間目くらいから教室に戻った僕たちはあっという間に皆に囲まれた。女の子たちは口々に『冗談でしょ?』と言っていたけど、柴島は真剣な顔をして本気だと言い、僕をぎゅうと抱きしめた。

それを見てクラスの皆が呆れたような顔をする。まだ納得のいかない女の子たちが口を開いて僕の事をバカにすると、それを聞いていたクラスの男子が庇ってくれたのだ。

『お前らに関係ないだろ』
『ほっといてやれよ。ヤキモチで千代田に嫌味いうとか最低だぞ』
『まじ女って怖いよな。柴島が千代田にいくのわかるわ〜、お前らより何倍もいい奴だしな』

それを聞いて僕はすごくびっくりしてしまった。だって、まさかクラスメイトがそんな風に言ってくれるなんて思ってもみなかったから。

「知らなかった?千代田はさ、動きとか仕草がかわいいって男子たちは結構マスコットみたいな感じで見てたんだぜ」

知らなかった。こんな僕に嫌悪以外の感情を持ってくれる人がそんなにいてくれただなんて。


それから、川島からももう一度会いたいって柴島に連絡があった。なんでそう言ってるのかわからなくて少し怖いけど、柴島と一緒にならと川島と待ち合わせの場所へ行く。

「ごめん!」

会うなり、川島は僕に向かって頭を下げてきた。

「…ガキの頃、お前の事散々からかってごめん。あの時の俺らさ、ほんとやられた方がどんだけ嫌な思いしてるとかわかんなくて。ムキになるお前が面白くってさ。ほら、あれだ、あの…。
好きな子ほど、いじめたくなるってやつ?
あの時お前をからかってたやつら皆そうなんだよ。でも、悪気はなかったとはいえひどい事してたのには変わりないから。…ごめん。」


川島の謝罪に、僕は本当に驚いてしまって。柴島をそっと見上げるとなんだか何とも言えない顔をしていた。

「…それでさ、今回呼び出したのはさ、その…、よかったらまた遊んだりしねえかなーって」
「しねえよ」

川島の言葉を、柴島がぴしゃりと切る。

「な、なんだよ!俺は千代田に聞いてんの!ずりいだろ、なんでお前は千代田と遊んでんのに…」
「ずるくねえよ。千代田は俺の彼氏だから。」

さらりと言った柴島の言葉にぽかんとしている川島にじゃあな、と声をかけ僕の手を引き足早にその場から連れ出された。振り返ろうとしたらぐいと肩を抱かれ、そのまますぐに柴島の家まで連れて行かれる。

「ったく、あんにゃろう!こないだ会った時からやたら千代田の事聞いてくると思ったら…!狙ってやがったんだな!」
「き、気のせいだよ。ただ、懐かしくてまたからかいたくなっただけじゃ…」
「いーや!あれは絶対そうだ!いいか千代田、もし川島にどっかであっても無視しろよ!わかったな!」

ぷりぷりと怒りながら僕を抱きしめる柴島がかわいくて、ちゅ、と頬にキスをする。僕の突然の行動に柴島は目を丸くしてぴきんと固まってしまった。

「…僕みたいなのをこんなに好きになってくれるのは、柴島だけだよ。」

ネガティブなようだけど、自信を持って言ったその言葉。
ねえ柴島、そうでしょう?僕を好きになれるのは、僕が好きになれるのはキミしかいないんだ。


柴島に愛されることで、閉じていた自分の世界が少しづつ広がって見えていなかったことがたくさん見えてくる。

それでも、君の愛に匹敵するものなんてこの世にはないんだと信じたいから。



「こんな僕が、こんなにも愛されていいの?」
「もちろんだよ。」



何度でも、君に愛してるを問いかけるよ。


end
→あとがき

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