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19

眩しさに身動いで目を擦る。いつもの通りにベッドから降りて時計と携帯を確認しようとして体を起き上がらせようとした瞬間に腰に激しい痛みを感じてそのまま顔をベッドに埋めて呻いた。

(…起きなきゃ)

そろりと足を床に下ろし、立ち上がるために軸足に体重をかける。

「わ…!」

自分では、立ち上がったつもりだった。だが、力をいれた瞬間膝がかくんと崩れ落ち、そのまま名村はべたんと床に倒れこんでしまった。

「…いい眺めだ」
「…?…!」

低く甘い声が後ろから響き、そっと顔だけそちらに向ければ片肘をつきながら城之内がベッドの上からニヤニヤと甘い笑みを浮かべて名村を見ていた。
いい眺めって?という疑問はすぐに解けた。名村は膝から崩れ、前に倒れてしまった為に今城之内の方に尻を高く突きだしているような格好をしているからだ。
真っ赤になって体を動かすよりも先に城之内がベッドから降りた気配がして、ふわりと体が宙に浮いた。

「かなり魅力的ではあったがな、あまり煽るのはやめてくれ」

煽ってるつもりもないし、別にそんなつもりであの格好をしていたわけではない!
そう反論しようとしたが、城之内があまりにも優しく微笑んでいるからなんだか恥ずかしくなってふいと顔をそらした。

横抱きにされ、そっとベッドに降ろされ横たえられると城之内は名村の額にキスをした。

「無理はするな」
「…だが、風紀の見回りが」
「ちゃんと代わりのやつらがやってくれる」
「そういう訳にはいかない、この体の痛みは自分のせいだ。自分の責任上の事で他のやつらに迷惑をかけることなんてできな…」

再び起き上がろうとした名村を黙らせるためにキスをする。反論しようとするのを、舌を絡めとりたっぷりと口内を愛撫してとろけさせて、そっと唇を離す。目は潤んでとけてはいるが、簡単には懐柔されないようでその潤んだ目の奥が困っているのがわかる。

「…お前が責任感が強いのは前から知ってはいたがな。わかった。だが、どうしてもと言うなら俺に抱かれたまま廻る事になるぞ」
「な…!?」
「拒否するなら行かせない。さあ、おとなしく休むか俺に抱かれたまま行くかどうする?」

2択を出され、恨みがましく城之内を見つめる。

「…頼むよ、名村。お前をこんな体にしておいてと思うだろうけどな、こんな弱りきったお前を外に出せない。せめて今日だけは休んでくれないか。大丈夫だ、お前の事を責任感がないなんて責めるやつなんているわけない。責められるのは、俺の方だ」

苦笑いをしながら自分のスマホの画面を名村に向ける。そこには、生徒会役員たちから城之内へ向かってボロカスに罵る言葉が綴られていた。

「…だったら、尚更、休めない。お前に行為を迫ったのは俺だ。なあ、城之内…」


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