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3

それからしばらくしてからのこと。
変わらず鉄二とご飯を食べるようにしていた俺は、いつも料理をしてくれる鉄二に今日は給料日なので外食に連れていってやろうと連絡をした。
待ち合わせは鉄二の高校の最寄り駅の駅前。たまたま休みだったので、少し早めに来て鉄二を待っていたら偶然にも小暮さんに会った。

「やあ、一颯くん」
「小暮さん!どしたの、今日はお休み?」
「いや、近くの取引先で仕事だったんだ。偶然だな。確かここは鉄二の高校の近くだったよな」
「うん、ご飯食べに行こうかと思って」

待ち合わせ場所で会った小暮さんと何だかんだ軽く会話をする。兄貴との暮らしを聞いたり、今の仕事の話を聞かれたり。そんな中で、やっぱり話題に上がるのは鉄二の話で最近の様子とかを聞かれて答えてると小暮さんは寂しそうに笑った。

「年頃の子は叔父さんなんかに色々言われるとうるさいんだろうな。一颯くん…鉄二のこと頼むよ」
「大丈夫だって!今はちょっと恥ずかしいだけだよ、またすぐにもとに戻るって」

しゅんとしたその顔が鉄二と被って、思わず小暮さんの頭をポンポンと子供にするみたいにしてしまった。小暮さんも俺も互いに驚いたように見開いた目でばっちり見つめあってしまって、おかしくて二人して笑った。

「ごめん、小暮さん!」
「いや、かまわないよ。鉄二と間違えたんだろう?…鉄二!」

小暮さんの言うとおりだ。指摘されて真っ赤になって頭をかいたら、急に小暮さんが俺の後ろに向かって叫んだ。振り返れば、無表情にじっと俺たちを見つめる鉄二。いつからいたんだ、声かけてくれればいいのに。

「鉄二、おかえり…鉄二?」

笑顔でおかえりの挨拶をして一歩鉄二に向かって踏み出せば、同じように一歩下がってから鉄二は一瞬俺をきつく睨んで駆け出してしまった。

「鉄二!どこいくんだ、待て!小暮さん、ごめん!」

離れていく背中を必死に追いかける。くそ、鉄二足速い!
何とか追い付こうと走ったけれど、鉄二を見失ってしまった。
息切れしながら鉄二に電話をかけるがコール音が空しく響く。メール、ライン、あらゆる手段で連絡をしたけれど、結局鉄二がその日俺に連絡してくることはなかった。

小暮さんから謝罪のメールが来たけれど、小暮さんはなにも悪くないので気にしないでと返信をする。というか、鉄二が怒って逃げる理由が見つからない。小暮さんはなにもしていないし、俺だってなんで避けられてるのか全くわからない。
次の日になっても連絡は取れず、仕事のため会いにも行けず。

焦燥した気持ちのまま日々を過ごした俺はそれから一週間後の夜勤上がりの日、待ちわびてましたとばかりにストーカーの様に鉄二の学校へ向かった。


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