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チョビ様リクエストで『ちびこぐが大きくなって一颯と甘々』です!

ちびこぐは小暮とはまた違ったバンビちゃんになりました(^^)

お楽しみ頂ければさいわいです。
がんばります!ではどうぞ♪


―――――――――


「一颯くん、お疲れ様。今日はもう上がっていいよ」
「はい、ありがとうございます。お疲れ様ですー!」
「綾小路先生、お疲れ様でした!」
「お疲れ様ー!」

更衣室に着き、着ていた白衣を脱いでハンガーにかけて私服に着替える。帰る前に患者のいるゲージを軽く覗きこんで、様子をチェック。
裏口から出てから大きく一つ伸びをした。

「ああ、つっかれたぁ〜」

綾小路一颯、26歳。動物のお医者さん見習いです。

中学卒業後、アニキである綾小路桂と同じ高校に進学した俺は、数ある選択肢の中から獣医になる道を選んだ。
高校卒業後、北海道の獣医学科の大学に進み、地元に戻ってきたのは去年のこと。地元にある動物病院に就職し、今まさに研修中。毎日すごく忙しくて、夜勤なんかもあるけれどとても充実している。

ただ一つ、ちょっとだけの悩みを除いては。

プルルル…と呼び出し音を聞きながら早く出ないかなと呼び出し相手を思い顔がにやける。

『はい』
「あ、もしもし、鉄二?今終わったから今から帰るよ」
『あっそ』

プツッ、ツーツー…

愛想なく一瞬で切られた電話をじっと見つめる。

「はー…」

ツンかわいくない、悲しい。でもでもやっぱりかわいいから帰ってソファでクッション抱き締めて待ってる姿を想像してにまにま。
電話の相手は、小池鉄二。兄貴の恋人、小暮鉄男さんの甥っ子ちゃんだ。
鉄二に初めて会ったのは俺が15才、鉄二が3歳のときだ。春休みにうちに泊まりに来たことがきっかけで、それからずっとうちに来ては俺や弟の春乃と遊んでた。
俺になつく鉄二はかわいくてかわいくて、そりゃもうめちゃくちゃかわいがった。今では鉄二が俺と初めて会った時と同じ15才になったけど、成長しても俺の中でかわいい鉄二は変わらない。

だけど…鉄二はそうじゃないみたいで、最近というか、俺が大学を卒業して帰ってきたらこんな風になってました。反抗期なのかやたらとクール。ちょっと前まで
『いぶ、いぶ』
と俺の後を着いてきてたのになあ。

帰ってきてしばらくは実家にいたものの、鉄二が高校合格した頃に一人暮らしを始めた俺は、マンションの合鍵を真っ先に鉄二にやった。でも、俺が呼ばない限り全く来る気配がなくて夜勤や他の用事がない限り俺から鉄二に連絡してうちにご飯を食べに来るようにしてる。
とはいえ、俺は全く料理ができないから鉄二が作ってくれるんだけど。
本来なら一番楽しい学生時代、鉄二だって友達との付き合いやなんかあるとは思う。
けど、こうして俺が鉄二に構ってうちに来させるのは他ならぬ小暮さんに頼まれたってのもあるからだ。

俺が北海道に行っている6年の間に、鉄二はすっかり不良の仲間入りをしてしまったらしい。

背は小暮さんみたいに高くはないけど、小さい頃から小暮さんそっくりだった顔はそのまま強面となった。そして、鉄二は小暮さんのように無口で物静かなんかではなく、お口が意外に達者でいらしたようで口撃してくる相手には黙っておらず倍以上に言い返す。元々賢い子なのでそれはそれは完膚なきまでの正論で論破するらしく、ただのおバカな不良なんかは太刀打ちできない。で、相手が逆上して殴りかかってくる。反撃。完破。

小池鉄二、当時中学生にして最強不良説のできあがり。

俺が北海道に行ってから、友達と遊ぶ回数が増えたのか夜遅くまで出歩く事が増え、そんなことが多々あり自分と同じになってはと心配して話をしようにも、鉄二は小暮さんにも反抗的な態度で全く聞き耳を持たないらしく、俺がこっちに帰ってきたのを聞いてなついていた俺になら心を許して素直でいるんじゃないかと思ったのだそうだ。

久しぶりに会った鉄二は、ずっと眉間にシワを寄せてひどく無愛想で無口になっていた。だけど、『合格おめでとう』なんつって合鍵をやったときに一瞬見せたキラキラと嬉しそうな目は昔の鉄二そのまんまだった。その時だけじゃない。つんけんしてるけど、ふいに見せる仕草や行動は昔のまんま。
だから、どれだけ冷たくあしらわれても俺にとってはかわいい鉄二のままなんだ。

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