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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -




9

皆さま、おはようございます。朝です。
と言ってももう昼前なんですが。

目が覚めて、見慣れた部屋の光景になんだかほっとしてきょときょとと見渡せば、すぐそばからくくく、と詰めたような笑いが聞こえてはっとした。ぐりんと顔を向けて真横を見れば綺麗な顔が甘く優しく笑いながら肘をついて俺を見ていた。

「あ…、今、何時…」
「おはよう、には少し遅いかな?大丈夫だ、学校には連絡しておいたよ。それより喉は乾いてないか?」

ちょっと、と言えば高見沢は俺の口に甘いキスを落として鼻歌を歌いながら寝室から出ていった。俺はといえば、今の時間とそれから寝返りをうとうとして腰に走った鈍痛に熱くなる顔を枕に埋めてじたばたとした。

ついに、ついに俺、オトナになりました。

昨日、押し倒された後…高見沢はものすごく丁寧に、優しく優しく俺を抱いてくれた。あまりの上手さにほんとに男は初めてなんだろうかと疑うほど、初めてだと言うのに俺はめちゃくちゃ啼かされた。
…高見沢の愛撫がかな〜りしつこかったせいでもあると思うんだ、うん。

乳首だけで30分は弄られたんじゃないだろうか。初めはなんだかくすぐったいような感覚だったのに、しまいには摘ままれて揉まれるとびりびりと電気が走ったようになって、そうされるたび口からはへんな声は出るし体はびくびくするし。
…ちんこなんか、何回擦られて何回舐められたかわかんない。

後ろに指を入れられて、萎えかけた俺の息子さんに高見沢は適度な刺激を与えつつ解して、後ろをいじり前をいじりででもイクにイケない寸止め愛撫なもんだから俺多分めっちゃ自分から腰振ってた。そりゃもうはしたないくらい。
高見沢曰く『負担を軽くするためにギリギリにしてる』とかだったけど絶対あれ、楽しんでたと思うんだ、うん。

高見沢が入ってきてからは、もう、なんていうか…痛くない訳じゃなかったけど、やっと受け入れることができたことが幸せで、安堵して。
『うれしい』って泣いた俺を見て泣いた高見沢を見て、たまらなくいとおしくなった。

あ、やばい。なんか回想してたらちょっとどきどきとむらむらしちゃったかも…

そんなこんなでじたばたしてたら、がちゃりと扉の開く音が聞こえて振り向くと、高見沢がペットボトルを持って戻ってきた。
戻ってきたんだけど、なんだろ、さっきまでとちょっと雰囲気が違う?雰囲気?様子?
とにかく違和感を感じて、ベッド脇に腰を下ろした高見沢の頭をそっと撫でる。

「…なんかあった?」

首をかしげて覗きこめば、驚いたように目を瞬きさせた。
それから、苦笑いをして俺の肩を抱いてそっと自分に引き寄せて、俺のおでこにキスをした。

「…さっき、野原が来たんだ。これを千里にって」
「…!」

高見沢が俺に差し出したのはあれです。真ん中に穴の空いた、ドーナツ型のクッション。そう、いわゆる円座ってやつです、はい。
それからこれも、と渡されたのは痔の薬。

晴彦ちゃんたら、なんてもの寄越してくるの!

真っ赤になってがっくしと頭を落としていると高見沢が俺の頭を撫でながら幾度も髪にキスをする。それが、ただの恋人としてのキスじゃないように思えてじっと見つめれば高見沢はやっぱりさっきと同じ何か後悔しているような顔をしていた。

「高見沢…?」
「お前だけだ。お前だけを愛してる。いつも傷付けてばかりで信用できないかもしれないけど…俺にはお前だけなんだ…」

俺を抱き締める高見沢は、震えていた。

「二度と…二度とバカなまねなんかしない。お前の気持ちをもっと考えて、大事にして…俺が彼氏でよかったっていつも思ってもらえるように頑張るから…」

だから俺を見限らないで

震えながら俺を抱き締める高見沢の背中をそっと撫でる。

「大丈夫だよ、高見沢。大丈夫。俺だって、お前だけだよ。お前になら、何をされてもいいんだ。俺も、頑張るから…も、もう、俺から、」

離れないで、という言葉は自分から仕掛けたキスと共に高見沢の唇に消えた。

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