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800万キリリク、たまこ様からのリクエストで突発にある
『テディベアを抱きしめて』
の続編です!
できればエロありとのことで、18禁表現がございますのでご注意下さい。
委員長がだいぶヘタレになってしまいましたが…(笑)

頑張ります!ではどうぞ♪


―――――――――――
顔に当たる日の眩しさに、落ちていた意識をゆっくりと浮上させるとふわりといい匂いが鼻先をくすぐった。
しゅんしゅんと湯気のたつ音と、チン、と小気味のよい音。

誘われるように体を起こして扉を開ければ、窓から差す朝日に照らされてテーブルの上の食事が一際美味しそうに並んでいた。

「あ、おはよう。起きたんだ、今起こしに行こうかと思ってたんだ」
「ああ、ありがとう。…いい匂いだな」

ひょこり、とキッチンから顔を出した彼に率直な感想を告げれば嬉しそうな照れ臭そうな顔をして笑って、キッチンに戻る。朝食の並べられたテーブルの椅子を引き、腰を掛けようとして向かいの席にくまが座っているのを見て口許が緩んだ。
トレイにサラダを乗せてやってきた彼は、二人分のそれをテーブルに置くと自分も俺の向かいの席につき、自分の隣の席に座らせている先ほど俺が目があったくまを抱き上げて俺の方に向けて自分の顔の前に持ち上げた。

「べあくんもごあいさつ。『おはよう、委員長』」
「ああ、おはよう」

べあくんと呼んだくまの頭をペコリと下げる。まるで小さな子供がするおままごとのようなそれは、彼にとってはごく当たり前の行為でべあくんとは大親友なのだそうだ。

彼…榛原栄太は、俺、葦原宗太郎が風紀委員長を務めるエリート金持ちばかりを集めた全寮制の男子校に外部入試で特待をとって入学してきた生徒だ。

見た目があまり真面目ではなく、目付きも悪い、顔もどちらかと言えば極悪な榛原は入学してそうそうに問題児とされていた。
榛原関係での揉め事が絶えないために、頭を抱えた俺たち風紀はなんとかして榛原を追い込もうとした。
榛原の尻尾をつかむために、委員長である俺自ら名乗りをあげて榛原と同室になったのだが…

実際の榛原は、噂とは全く真逆の人間だった。

本当の榛原は、人懐こく真面目で…『べあくん』という、絵本に出てくるくまが大好きでまるで小さい子供のように、そのくまを友達だと生きているように扱うようなある意味純粋な人間だった。

榛原と共に過ごし、榛原を知るたびに俺は榛原に惹かれた。
榛原も、同室である俺に次第に心を許し互いに良好な関係を築いていたのだが、バカな俺のせいで一度榛原をひどく傷つけてしまったことがある。

あの時の榛原を思い出すと、今でも胸がぎしぎしと痛む。
追いかけて謝って、自分が本当は榛原の事が好きなのだと告白をした。

優しい榛原は、許しはしてくれたものの、心を開いていた俺がひどいことを言ってしまったせいで俺のことを完全には信じられないと言った。

今まで、それほどまでに心を許した人間はいなかったために自分を信じてもらえなかった事がよほどショックだったらしく今でもたまに俺の顔色を伺うような表情をしている。

そして俺はそんな榛原を見るたびに、自分の汚点を挽回すべく、愛を囁き続けているのだ。

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