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生徒会室について仕事をしていると、いつものように先生が現れた。入ってすぐにまたつまづいたけど今日はなんとかこけるのは耐えたようだ。
あーあ、と笑えば先生は真っ赤になってちょっと得意げに笑う。

「な、んか、いいことあったの?今日、機嫌よさそうだね」
「あ、わかります?いやあ、朝から小暮がすげえかわいいことしてくれて」

いつも聞いてくれる(無理矢理聞かせる)仲間がいないので、思わず先生にのろけてしまった。先生がほんの一瞬、表情を強ばらせたけどすぐに笑顔で『朝からのろけないでよ〜』とか笑う。

「…綾小路くんって、昔は来るもの拒まずで結構俺様だったって聞いたけど、ほんと?」
「あは、恥ずかしながら。でも、小暮と出会って、小暮のおかげで変わりました。人間ほんとに大事なものができると変われるもんなんですね」
「…じゃあ、僕は大事なものなんかじゃなかったんだ」
「え?」

でれでれとのろけると、先生はうつむいて何かをつぶやいた。小さすぎて聞き取れなかったそれを聞き返すと、先生はなんでもないと首を振ってからお茶を入れてくるとキッチンに入っていった。

なんだろう、何かまずいことを言っただろうか。

首を傾げているとお茶の用意をした先生がキッチンから現れた。笑顔でソファに促され、いつものように腰をかける。
勧められたお茶に口を付け、同じように先生もマグカップを手に取る。だがじっと揺れる中身を見たまま何も話さない。

…一体どうしたんだろうか。

なんだかいつもと雰囲気の違う先生が気になってじっと見つめるとやがて先生はゆっくりと顔を上げた。

「先生?」
「…小暮くんは、幸せだね。綾小路くんみたいなイケメンで、頭も良くて、優しい子からそんなに一心に想われて」
「や、そんな」
「きっと、悲しい思いなんてしたことないだろうね。そりゃそうだよね、君みたいな子から大事に大事に愛されて辛い想いなんかするもんか」
「…いや、」

小暮はその容姿と無口な性格の為に昔から皆に誤解をされてきた。
勝手に小暮を不良だと勘違いをしたバカな奴らから絡まれるのはしょっちゅうだったし、そのせいでしたくもない喧嘩に巻き込まれ風紀に目を付けられ学校中のやつらから嫌われ…

俺だって、初めから小暮を愛していたわけじゃない。むしろ酷く傷付けてばかりだった。

小暮に対する誤解を解こうと口を開きかけて、急にぐらりと視界が揺れた。

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