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久々のキリリクです!

美奈様からのリクエストで、

『赤の契約』の続編、リクエストは「赤の契約」の吸血鬼の王と狼男兄の続編で受け溺愛になった攻めの鬼畜お仕置きを含む嫁入り話をお願い致します。内容はシリアス→激甘だと嬉しいです。

とのことです。頑張ります!


※18禁表現があります。また、同性による妊娠、出産表現を含みますので苦手な方はご注意ください。




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「ロルフ」

優雅な仕草ですっと手を差し伸べ、その顔に万人を魅了する笑みを浮かべる若き皇帝はバラの花に囲まれて夜空を眺める一人の青年に声を掛けた。振り返った青年はきょとんとした顔をしていたがすぐににこりと柔らかく微笑み、差し出された手を遠慮がちに取る。

青年の手を取り己に引き寄せ、その身をたくましい腕の中に閉じ込めると皇帝は先ほどよりもさらに顔を緩ませ、腕の中の青年に口づけた。

皇帝の名は、リュディガー・ヴァンディミオン。ヨーロッパに現存するモンスター、いわゆる吸血鬼と言われる部類の文字通り頂点に立つ男。そして、その皇帝の寵愛を一身に受けるのは腕の中にいる青年。名をロルフ・ベルガモットという。
ロルフは同じくヨーロッパに現存するモンスターで、ワーウルフ…狼男だ。



二人の出会いは偶然だった。トラブルに巻き込まれ怪我を負ったリュディガーを、たまたま見つけたロルフが助けたのが始まり。だが、吸血鬼であるリュディガーはモンスターの中でもトップクラス、しかもその頂点である王族。かたや、モンスターとしてのランクは高い方だがその粗雑な気質ゆえに吸血鬼とは相反していたワーウルフ。

リュディガーは、例外なくプライドが高くワーウルフを目の敵にして見下していた。そんな相手に助けられたことでプライドを傷つけられ、己を助けたはずのロルフを監禁凌辱しひどい目に合わせた。今まで孤高に己のみを信じて生きてきたリュディガーは、己のうちにひそむ、ロルフに向けられるその凶暴な感情が愛だとは気付かなかった。

ロルフはそんなリュディガーを深い愛情で包み込み、愛に気付いて許しを請い愛を願うリュディガーをそれ以上の情を持って包み込み、二人は晴れて互いを想い合う恋人同士になったのである。

リュディガーは今までの事が嘘のようにロルフを溺愛し甘やかし、全力で愛でる。それだけではなく、リュディガーはロルフへの愛を認めたその時にはすでにロルフを己の伴侶にすると決めて一族に公言したのである。


誇り高き吸血鬼の王が、種族の違う、しかもはるかにランクの劣るワーウルフを伴侶にすると口にした時には一斉に気が触れたのだとバカにした。そんな腑抜けた王ならばとその首を狙うものが現れるほどだったが、愛を知り守るものの大切さを知ったリュディガーはこれまで以上の力を身につけており、全てを力でねじ伏せた。文字通り最強となったリュディガーに誰も敵うはずもなく、力こそが全ての吸血鬼一族はそれこそ今まで以上にリュディガーを崇拝するようになった。

そして、それからしばらくして、リュディガーがロルフとの婚儀を進め始めた。ロルフは二人兄弟で、親がいない。リュディガーがロルフを伴侶と決めた時、ロルフは弟と二人で暮らしていた。その時、弟であるレオンはまだ学生。弟がせめて卒業するまでは一緒にいて面倒を見てやりたいというロルフの意見を尊重し、リュディガーはレオンと共に暮らすロルフの元に足しげく通うことで愛を育んでいた。

そしてこの春めでたく卒業をし、それを機にレオンの恋人が一緒に暮らそうと言い出したとレオンが遠慮がちにロルフに報告をしてきたのだ。

レオンの恋人は己の伴侶となるリュディガーの弟で、イアンという。リュディガーよりもロルフとの付き合いも長く、イアンをよく知りずっと二人を見てきたロルフは弟を祝福し、快く送り出した。
少しさびしくなる、とぽつりとこぼしたロルフに、それならば機が熟したのではないかとリュディガーが婚姻を申し出たのだ。


今はリュディガーと共にこれから生涯暮らすこととなるリュディガーの居城に住を移し、来たる婚儀の日に向け皇帝の妃となるべく花嫁修業に奮闘しているのである。

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