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3

次の日も、その次の日も、北島は相変わらず俺に冷たくて。何だか食堂で会ってからいつもよりそれがひどく感じた。

北島はほんとに些細なことで俺につっかかって嫌みを言ってくる。そのほとんどが俺が伊集院さんを見ているときなんだけど。俺たちの教室は鳥小屋に向かう校庭の真上にあるため、結構伊集院さんの姿を見かけるんだよね。それで友達と廊下でしゃべってると声がうるさいだとか、掃除をしてると下手くそがやらない方がましだとか。

なんでだろう。俺、北島になんか嫌われるようなことしたっけ?

一週間も嫌みを言われ続けて、正直俺は結構傷ついてた。
北島に何か言われるたびに、心が血を流してるみたいな感じだ。もうほっといてくれればいいのに。

しかも、今日は最悪なことに北島と日直だ。

「…てめえとかよ、ついてねえ」
「そ、それはこっちのセリフだっての!そう思うんなら話しかけんなよな!」

朝一番に当番表を見て舌打ちをした北島に、かっとなって言い返す。

「ばかかてめえは。話しかけずに日直できねえだろ、んなこともわかんねえのかよ。ばかみてえに会長のケツ追って鳥小屋ばっか行ってるからんなバカになるんだ」

北島の余りの言葉に、じわじわと涙が浮かんでくる。俺はそれをぐっとこらえた。こんな奴の前で、泣いてたまるか!

「…会長のケツなんて、追ってない」

唇を噛み締めて、そういうのが精一杯だった。北島はそんな俺の顔を見て、ひどくうっとおしそうに眉を寄せた。

「あっそ。どうでもいいけど」

ふん、と鼻で笑ってくるりと背を向け教室から出て行く。クラスの友達が慰めてくれたけど、その日1日俺はひどく落ち込んだままだった。

放課後、教室に一人残って日誌を書いてると窓の外に兄ちゃんと伊集院さんが歩いているのを見かけた。二人ともすごい笑顔だ。

「いいな〜」

頬杖をついて二人を眺め、ぽつりとつぶやく。
二人は、インコがきっかけで恋人になったんだって言ってた。机においた携帯の、インコのストラップをつんつんとつつく。

「お前は黄色だから、幸せの青い鳥になれないね〜」
「誰と結んで欲しいんだよ」

びっくりして声のした方を見ると、北島がひどく不機嫌な顔をして俺を見ていた。
思わず携帯を握って立ち上がると、北島は舌打ちをして大股で俺に近づいてきた。
そして、俺の目の前までくると俺から携帯を取り上げた。


「な、なにすんだよ!返せ!」
「うるせえ!なんだ、こんなもん大事にしやがって!彼氏のいる男からもらったもんだろうが!」


北島は俺の携帯じゃなくて、つけているストラップを握っていた。

「やめて!やめてよ!伊集院さんからもらったのに!」

ちぎれちゃう!
必死になって取り返そうとするけど、北島の方が背が高いから上にあげられると届かない。
それでも泣きそうになりながら手を伸ばす。

「…っだから、諦めろ!こんなもん…!」
「あ…!」

ぶちり。
ぐしゃっ!

北島が、俺の携帯からストラップを引きちぎりなんと足で踏み潰した。

「なにすんだよー!」

北島を思い切り突き飛ばすと、よろけた北島の足のしたから、粉々に割れたストラップが。
プラスチックでできていたから、見るも無残に割れてしまっていた。
ここまで粉々になってしまっては、修復など不可能だろう。


俺はがくりと膝をつき、震える手で粉々になったストラップを拾い集めた。

「原口…」



「…きらい」



北島が一歩近づいて声をかけてきたが、俺はそれを遮った。


「嫌い。北島なんか、大っ嫌い!」

ぼろぼろと泣きながら、大声で叫ぶと北島は目を見開いて固まった。俺はストラップを握りしめ、教室から飛び出した。

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