×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




10 涼介side

俺たちは、別れた。バカな俺のせいで、俺は大事な人を傷つけ手放してしまった。いくらしてもし足りないくらい、後悔で毎日部屋で一人泣いた。

俺の泣いた数の倍以上、きっと翔は泣いたのだろう。

翔は、別れた翌日からも普通に声を掛けてくれた。だが、その声色の中には今までのように愛情を感じない。本当に、俺たちは友人に。いや、ただの同室者に戻ったのだ。


翔は本当に普通に接してくれている。一緒にご飯を食べる時もあれば、リビングで一緒にテレビを見る時も。
ただ、以前とは一つ違っていること。

「…翔?どっか行くの?」
「ああ、中川たちが飯食わないかって言うから外で食べてくる。じゃあな」
「…いって、らっしゃい…」

今まで、翔は恋人だったときに俺以外の人間を優先することはなかった。でも、誘われれば普通に出かけていくし、俺以外の奴とこうやってご飯を食べに行く。
俺は翔と食べようと用意していた夕食を黙々と一人食べ、翔の分をゴミ箱に捨てる。

一人で食べるご飯はひどく味気なくて。まるで砂を噛んでいるようだ。

どこにいるの。誰といるの。何をして、何を食べているの。

二人で食事をしていた毎日を思い出す。あのころはどんなものでもおいしくて。たわいのない話をしながら二人で笑ってたっけ。
半分も食べれなくて、残りをゴミ箱に捨てる。俺が誰かと食べるって出て行ったとき、翔は俺と同じ気持ちだったのかな。今さらながらあの時に戻ってごめんって言って、翔を抱きしめてやりたいなんて思ったりした。


それ以外にも、俺といるときに電話に出たり、遊びに行ったり。
「え〜、まじで?あははは」
なんて部屋の向こうで楽しそうに話をしている声を聞いて唇を噛みしめる。

誰と話してるの。なんの電話?

どこに行くの。何をしてるの?

でも、俺にそれを問い詰める資格なんてない。俺はただの同室者。自分から、その権利を投げ捨ててしまったんだ。

翔が俺以外の奴を優先するたびに、胸が張り裂けそうに痛い。翔と付き合って、浮気まがいの事を始めて6か月。半年もの間、翔にこんな思いをさせていたんだ。


「ごめん…、ごめんな、翔…。」


謝っても謝っても足りないくらい、俺は一人後悔で狂いそうな胸を押さえた。

[ 24/495 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]


top