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6

「ん…、お、う…!…っぐ、んん…!」

ぎし、ぎし、とスプリングが激しく軋む音に混じって押し殺したような声が響く。ぱん、ぱん、と肉と肉のぶつかり合う音と共に、ぐちゅぐちゅといやらしい水音がそこから漏れる。

「あ、そこ、そこ…っ!」
「…っ、ここ、ですか?」

後ろから腰を掴んで激しく突き上げられていたかと思うと奥まで押し込むようにして小刻みに揺すられる。その時に奥にある前立腺をごりゅごりゅと嬲られ、健之助は涎を垂らしながら『きもちいい』と喘いだ。

「…っ、イク、…!」
「くっ…!」

気持ちいい所ばかりを責められ、限界を訴えたと同時に相手もくぐもった声を出して健之介の中にその飛沫をぶちまける。中に出されたその感覚に同じく絶頂に達した健之介はまた軽く甘イキをしてぐたりとベッドに倒れ込んだ。


荒い息を整えながら、心地よい倦怠感にとろんと瞼を閉じる。

あ…、中だしされたんだっけ。でもまあ明日の朝でもいいか。今はもうこのまま寝てえ…

うとうととまどろむ中、優しく頭を撫でられたような気がしたが、もう健之介は目を開けてそれを確かめることはできなかった。



翌朝、目が覚めるとじっと自分の顔を眺めている男と目が合っておや、と考える。


そう言えば昨日はどうしたかな。確か居酒屋で同級生に会って、それから公園で…

事の経緯を思いだそうとしてまあいいか、と思考を止めた。どう考えてもやったには違いない。むくりと起き上がるとあくびをして頭をかく。

「あ〜、すまん。大丈夫か?」
「はい、俺は大丈夫です。目が覚めたのならもういいですね。」
「え?あ、ああ、」

健之介が起き上がると同時に男も起き上がり、身支度を整えはじめる。その引き締まった体をじっと見つめていると昨晩散々したはずなのにまた変な気になってくるので急いで頭を振った。


「悪かったな、ええと…野中。」
「…!覚えて、たんですか…」
「ああ、覚えてるぜ。野中大地だろ?」


『…名前』
『あ?』
『なまえ、』


昨晩、体をまさぐりながら野中の繰り返したそれに、自分の名を聞かれたのだと理解した健之介が名を告げると、野中も小さく自分の名前を口にした。

「…ここの支払いは済んでます。時間はまだありますのでごゆっくりどうぞ。」
「は?いや、」
「じゃあ、また。…健之介さん」
「おい、」

健之介の引き止める声など聞かずに、用件だけを伝えるとさっさと一人部屋を出て行ってしまった野中をぽかんとして見送った。

なんだか狐につままれたような気持ちで頭をかくと、健之助も身支度を整えようとベッドから足を下ろす。

「うお、っと…」

立ち上がろうと床に足を着いた所でかくん、と膝から崩れ落ちち、ぺたんと床に座り込んだ。足に力が入らない。
…あんなに激しく責められたのは初めてだ。まさに足腰経たなくなるというやつか、と笑えてくる。ふと体を見て、そう言えば昨日は中だしされたはずなのに、どこもべたべたとせず後孔も違和感がない事に気付き、もしかして後処理までしてくれたのかと野中の出て行った扉に自然と目をやった。

ゆっくり起き上がってベッドに腰を掛け、煙草に火を着ける。

体の相性は、ひどくよかった。我を忘れるほど夢中になったのは初めてではないだろうか。酔っていたとはいえ、いつも以上に乱れてしまった記憶がある。しかも、中だしを許した。
どれだけ酔っていても、健之助はゴムをさせるのを忘れたことはない。後処理が面倒だし、万が一残って体調を崩すのも面倒だからだ。

普段決して許さないその行為を許す、というかそこまで気が回らないほど乱れていたのだろうか。

これっきりにするのは惜しかったな、と最後に野中が呟いた一言は健之介の頭からすっかり抜け落ちてしまっていた。



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