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2

それから、俺たちのお付き合いが始まった。健吾さんの部屋に入り浸りになってしまった俺は、もう健吾さんからちょっとの間でも離れたくなくて我慢できなくなった。

『お願い!いい旦那様になるから一緒に住んで!結婚前の同棲って大事なんだよ!ちゃんと家賃も食費も払うからぁ!』
『…しょうがねえなあ』

お付き合い始めて3か月目、健吾さんは、ゴリ押しした俺と同棲してくれた。お付き合いしてみて思ったんだけど、まじで健吾さんっていい嫁さん。家事の得意でない俺に対して一人暮らしの長い健吾さんは家事が得意。

『嫁になってやる』

との宣言通り、家事を一手に引き受けてくれた。俺はバイトして、きちんと家賃なんかも折半して払ってる。大学卒業して就職したら、俺が健吾さんを養うんだ。今してくれている以上の事を健吾さんに返せたらいいな。いい旦那様になるんだ。

俺と健吾さんはすっげえラブラブで、そりゃもう周りもうらやむくらい俺は幸せもんで。でもまだ同棲前は清い交際だったんだよね。同棲して半年たったし、さあそろそろ次のステップへ!と健吾さんとの初エッチにドキドキして気合を入れてた俺。

上手くそういうムードを作って、ロマンチックに甘い言葉を囁きながらベッドへ誘った俺に対して、


『おい、ケツにチンコ入れんだっけ?クソ出して洗ってこねえといけねえんじゃねえか?』


そう言って素っ裸のままトイレに向かった健吾さんの後ろ姿を俺は忘れない。


そう、そうなんだよね。
健吾さんは、そのすごくできた嫁さんなんだけど。無骨な見た目のその通り、お誘いやなんかも無骨だったんだ。
今日も、『裸エプロンって男の夢なんですよね』と話した俺のために、念願のそれで出迎えてくれた健吾さん。


いや、嫌いなわけじゃないよ?健吾さんは健吾さんで、俺は変わらず大好きだし。でもさ、なんていうかさ。


「おい、どうすんだ。やらねえのか」
「やります。やりたいですけど、なんていうかその…」

先ほどの目の前の出来事と過去の回想にさめざめと泣いていた俺に確認を取る健吾さん。その態度も男らしいです。でも、もうちょっとなんていうか…ともごもごする俺を健吾さんはどんと押して布団に倒した。そんで、俺のズボンを下着ごとずるりとずらし、俺の息子をむぎゅっと握る。

「ならやるか。おら、フェラしてやんよ。」
「う、あ…っ!」

にやりと笑ってがっぽと俺の息子を咥えた健吾さんにあっちゅうまに俺の息子が反応する。大きくなっていく息子に満足そうに上目づかいでにっと笑うと、激しくなった口淫に俺はもうノックアウト。

「可愛いヤツだなおい」

健吾さんの上で必死に腰を振る俺に対して嬉しそうに健吾さんが笑っているのなんか見る余裕もないし気付かなかった。



「行ってきます」
「おう、気を付けてな」
「あ、あの、健吾さん…」
「あ?」

翌日、朝大学へ行こうと玄関で靴を履く俺に健吾さんがお見送りをしてくれた。健吾さんは今日は材料の関係で昼から仕事なんだって。
大工さんの健吾さんは、朝が早い。だから、こうして俺が見送られるのって久しぶり。夫婦みたいなそのやりとりにちょっとだけどきどきして、もうちょっと夫婦らしいことしたいなあって、もじもじしてた俺に健吾さんが怪訝な顔をする。

「なんだ、腹でもイテエのか?」
「ち、ちがうよ!」
「ならとっとと行きやがれ、遅刻すんじゃねえぞ」

くるりと後ろを向かされてお尻を蹴っ飛ばされて玄関から追い出されて、閉まった扉を恨みがましく見てからとぼとぼと歩き出した。

ああ、上手く伝えらんなかった。


大学で、ここ最近のことでもんもんとして机に突っ伏していたらまわりに友人がぞろぞろ集まりだした。燃え尽きたみたいになってる俺のまわりでいつもみたいにたわいのない話をしてる。年頃だからか話題はそれぞれすぐ彼女やら女の子やらの話になって、俺は参加せずにそいつらの話を聞いていた。

「そしたらさ、彼女が俺の服の裾ちょっと掴んでさ、『ね、いってらっしゃいのキス』なんて言うんだよ〜!」
「俺もさ、俺もさ、彼女、えっちの時すげえ恥ずかしがってさ、『電気、つけちゃやだ』とかって恥じらって言うんだよな〜!」

まわりで繰り広げられる甘ったるいのろけ話におでこをぐりぐりと机に押し付ける。そんな俺の様子に気付いた友人が『どうした?』なんて声をかけて気遣ってくれた。

「なんでもないよ。なんでもないんだ。ただ。お前らの話が俺の心を寒くするだけだよ…」

虚ろな目で乾いた笑いをする俺に友人たちは『倦怠期か!』なんて同情して笑った。

倦怠期なんかじゃねえよ。

「よし!じゃあ今日はお前を元気づけるためにぱーっと騒ぎに行かねえ?」

そう反論しようとして、俺を心配したのかただ飲みに行きたかっただけなのか周りの友人が口をそろえて騒いだ。

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