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12

何故気付かなかったんだろうか。
こんなにも、愛しく思うこの存在に。

「…ごめんな、エド…」

野々宮は抱きしめながら、火傷だらけになったその顔をそっと撫でる。エドはその手を大人しく受け入れ、はらはらと涙を流している。
野々宮はその涙を流す目元に、優しいキスを一つ落とした。
エドが、きょとんと見上げる。


「…気付かなくて、ごめん。

エドが好きだよ。」


エドは何を言われたのかわからない、とでも言うようにその青い目を大きく見開いた。

「俺の方こそ、ごめん。ほんとに、鈍感でごめん。俺、エドのいるこの部屋に帰ってくるのが楽しみだった。エドのこと、日本にいる弟たちと重ねてた。
だからかな。エドは弟だ、なんて自分で言い訳してた。
…でも、ほんとは違った。今日、唐津に言われるまで気付かなかったけど、俺はエドが好きだ。弟としてなんかじゃない。恋愛対象として、エドが好きなんだ。」


エドは、一言一言噛みしめるかのように聞いていた。


エドが好きだよ。


野々宮の告白に、先ほどとは違う涙が頬を流れる。

「…ほんと?…僕、髪、黒くないよ。目も青いし、顔だって全然カラツに似てない…」
「いいよ。唐津の代わりなんかじゃない。俺は金髪で青い目の、エドと言う男の子が好きなんだ。信じてくれる?それとも…」

最後まで言う前に、エドが大きく首を振り野々宮に抱きついてキスをした。


「マヒロッ、マヒロ…!好き。愛してる…!」


涙でぐしゃぐしゃになりながら野々宮の名を呼び『好き』を繰り返すエドに、今度は野々宮からキスをした。

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