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5

翌日、小暮の姉がちびこぐを迎えにきた。
初めてお会いするお義姉さまに緊張する。

「ごめんなさいね、迷惑をかけて。」

さすが小暮の姉だ、背が高い。175は余裕であるだろう。すらっとして佇まいが美しい。美人さんだけど顔は小暮にあまり似てないかな。

「あなたが綾小路くん?」
「は、はい!」

突然声をかけられて背筋がのびる。

「ふふ、鉄男から聞いてるわ。ほんとに優しそうな人ね。
…でも、いいの?あなたたちが選んだ道は並大抵のものじゃないと思うけど」

小暮と俺の関係を知っているのか、問いかけた声が厳しい。

「…反対…ですか」

「そうね。常識でいうなら私は賛成はしないわ。」
「姉さん!俺は…」
「鉄男は黙りなさい。この学校は特殊な環境にあるのよ。外の世界にでても今のままお互いが変わらないなんて保証はないわ。あなたはその覚悟があるの?」


真剣な眼差しで見つめられ、拳を握りしめ息を一つ吐く。


「…正直、覚悟がどうといわれても今は答えられません。ただ、これだけは言える。


俺は小暮を愛してる。小暮のいない世界なんて考えられないんだ。それだけは変わらない。俺たちを許してくれとは言いません。ただ、俺たちが変わらないんだということを、見ていてほしい。お願いします。」


真剣に頭を下げる俺に、お義姉さまがふ、と笑った。


「うふふ、誤解しないでね。常識でいうなら私は反対だけど、残念ながら私は常識じゃないの。
鉄男、いい男捕まえたわねえ。今からしっかり旦那を教育しなさいよ。」
「お、お義姉さまー!ぐえっ!」

認めてもらえた!旦那って言ってくれた!あまりの喜びに、お義姉さまに叫んで抱きつきそうになって山本に首根っこを掴まれた。死ぬ。



「やあー!てちゅ、かちゅらパパいるうー!」

一通り挨拶や会話が終わって、さあ帰るとなった時にちびこぐが激しくゴネだした。俺に抱き付いてわんわんと泣いて離れない。
「あらあ、えらく懐いちゃったのねえ」
お義姉さまは特に怒るわけでもなくそれを微笑ましげに眺めている。
「ふふ、あんたに似て好みなのかしら?」
小暮に意味深な微笑みを見せつぶやいたお義姉さまの言葉に、小暮が真っ赤になって困ったように眉を寄せた。


「鉄二」


俺が呼ぶと、涙でぐしゃぐしゃの顔を上げる。

「鉄二も、保育園にお友達がいるんだろう?鉄二が俺と離れるのが寂しいなら、お友達も鉄二に会えないと寂しいんじゃないか?」

俺の言葉に、口をへの字にする。俺は鉄二の頭を優しく撫でた。

「会いに行くから。お休みの日、俺から鉄二に会いに行くよ。だから、それまで待っててくれるか?」
「おやしゅみ、しゅぐ?かちゅらパパ、しゅぐくる?」
「ああ、すぐだ。もうすぐ春休み、学校が長いお休みになるからな。そしたら鉄二、桂パパが迎えに行くから小暮と一緒にパパの家に行こうな。
今度はみんなで桂パパの家にお泊まりだ。」


横で聞いていた小暮が、驚いて目を見開いた。本気。春休みになったら、実家に小暮を連れて行く。ちゃんと家族に紹介するつもりだ。

俺の愛する人ですって。

…ただ、癖の悪い奴が何人かいるから心配なんだけど…


「いく!てちゅ、かちゅらパパおうちいく!しゅぐね、しゅぐきてね!」
「ああ、約束だ」

指切りげんまんをしてやると、ぐずっていた鉄二はにこにこと笑顔になってお義姉さまのところへ走っていった。

笑顔はやっぱり小暮そっくりで、思わずニヤニヤしてしまった。


「パパあ!てちゅにい!またねー!ばいばーい!」


車に乗せられ、いつまでも手を振るちびこぐを、皆で車が見えなくなるまで見送った。

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