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6

次の日の朝も、幸人様の機嫌は下降したまま。
そして、今日は富原に頼んだから迎えは来なくていいと言われた。

不思議に思いながらもかしこまりました、と返事をする。
幸人様が出かけた後、黛が声をかけてきた。

「どしたの?昨日から幸人様機嫌悪いね。
お迎えもいいって言われたし」
「そんな日もあるんじゃないですかね。」

そう答えながら、ちょっとだけもやもやとした。
黛が俺の顔を覗き込んでくる。

「なんですか?」
「さみしい?」

にやりと笑われて首をかしげる。


…さみしい?俺が?


「まさか」

そう言って黛を置いて部屋に戻った。
そんな俺の後姿を、黛がじっと見ていた。


その日の夕方、インカムに幸人様の帰宅の連絡が入り出迎えに行く。
車から降りてきた幸人様は、こないだとは別のかわいい男の子を連れていた。

「おかえりなさいませ」

滝沢が頭を下げたのを見て慌てて俺も頭を下げる。
幸人様は男の子の肩を抱き、屋敷の中に入っていった。

「貴様は俺の部屋で待機してろ」

横を通りすぎるときに、俺に向かって命令する。

「かしこまりました」

また混ざれとかいうんだろうか。
返事をしながらぼんやりと考えた。


「ああっ、ああん!幸人さまっ!」

幸人様に言われた通り部屋で待機していると、案の定というかやはりというか情事が始まった。

しかも、俺の目の前でってどうなの。

男の子を部屋に連れ込むなり、幸人様は俺に寝室にいっしょに来るように言い。
そこでじっとしてろ、と俺の目の前で恥ずかしがる男の子を無理やりひん剥いておっぱじめたのだ。
俺は事が終わるまで退室を許されなかった。
挙句、男の子の後処理を命令された。
そのすべてを一切動じず淡々とこなす。
退室するときに幸人様はひどくゆがんだ顔で俺を見ていた。

それはその日だけでは終わらなかった。
その次の日も、そのまた次の日も。
幸人様は必ず誰かを伴って帰宅し、俺を部屋に待機させて情事の一部始終を見させる。
同時に、俺が自転車で幸人様を迎えに行くことはなくなっていた。

幸人様は以前の横暴な幸人様に戻ってしまったかのように、誰とも言葉を交わすことがなくなった。

特に、滝沢にはことさらいつも氷のような視線を投げつけていた。
黛からも心配してか、何があったか聞かれたのだがさっぱりわからない。

俺は、幸人様の行動よりもそうしながら幸人様のその色のない目の方が気になった。

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