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※このお話は、サイト開設から少し経って後に長編を書いてみたくなって書いていたものです。ずっとお蔵入りしていたのですがどうせならとアップすることに致しました。なにぶん一年以上前ということもあり今とは多少表現の仕方、書き方なども違います。少しづつ加筆修正しながら載せていきますのでちょこちょこしか上げられませんがどうぞお付き合いいただければと思います。

※また、この作品には18禁表現及びお話が進みますと虐待や暴力、死など残酷な表現が出てきますので、苦手な方はご遠慮ください。その章に入る時にはまた章の冒頭で注意書きをさせていただきます。

以上を踏まえまして、それでもいいと言う方のみどうぞご閲覧くださいませ。


追記:カップリングと属性を記載し忘れておりました。

平凡過去あり年上従者×俺様年下主人です。苦手なのに読んでしまった方、申し訳ありません。

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金が無い。
手の中にある十円玉3枚を見つめて俺は公園のベンチで途方に暮れていた。
全財産30円て。
今時幼稚園児でももっと持ってるっつの。
はあ、とため息を一つこぼす。
俺は堂島正明(どうじま まさあき)、18才。
この春高校を卒業したばかりだ。
卒業前に就職が決まり、意気揚々と社会人一年生を迎えるはずだった。
ところがところが、何たる不運。
入社と同時に会社が倒産。
俺は無職となってしまった。
途方に暮れたがいつまでもぼーっとしてるわけにはいかない。
すぐさまハローワークに行き、色んな会社をとにかく受けて受けて受けまくった。
が、世の不況は思った以上に厳しいらしい。
俺は一社も受かることなく今に至る。

「…どうすっかなあ」

俺はまた一つため息をついた。
一人暮らしを始めたばかりのため、貯蓄もない。
住み始めたアパートも、もうすぐ追い出されてしまうだろう。

「すみません。少しお時間よろしいでしょうか。」

ベンチに座って今後のことを考えていたら、ふいに誰かに話しかけられた。
ふと顔を向けると、ピシッとしたいかにも高級そうなスーツを着た男。
わお、男前。

「はあ、なんすか。」

ベンチに座り直し男を見上げると、男はにこりと微笑み一礼をした。

「わたくし、榊原財閥の会長宅にて執事長をしております富原健二(とみはら けんじ)と申します。」
「はあ…」

名刺を渡され、男と名刺を見比べる。
榊原財閥って、あのIT企業で有名な会社じゃなかったっけ。
そんな人が俺に何の用かな。
富原さんはじっと見つめる俺に、またにこりと微笑んだ。

「実は、先ほどからこの公園でのあなたの様子を観察させていただいておりまして…。
失礼ですが、お手持ちがあまりないようですが、
お仕事は何かされておられるんですか?」

ほんとに失礼だな。
仕事してるやつがこんな真っ昼間から公園のベンチにぼーっとしてるわけないだろうが。

「…仕事は、なにもしてません。
おっしゃるとおり、俺の手持ちはこの30円。
これからどうしようかなって考えてたところです。」

別に隠すことでもないので、正直に伝える。
俺の返事を聞いた富原さんが、とてもうれしそうに微笑んだ。

「いや、御気分を害されたのなら申し訳ございません。
実はあなた様に折り入ってお願いがあるのです。
お時間は取らせません、お話だけでも聞いていただけませんか?お食事を御馳走しますよ。」

御馳走するという言葉につられ、俺は頷いて富原さんの後について行った。
ついた先は俺では一生入ることがないだろうと思われる高級レストラン。
オレンジの穏やかなライトで統一され、インテリアや内装デザインなんかも超一流だ。
慣れない場に連れてこられ、そわそわと落ち着かない。

「落ち着きませんか?すみません、都合のよい場所がここしかなかったもので。」

何に都合がいいんだ。にっこりと人のいい笑顔を向けられてもなんだか裏がありそうに見えてしまうのは人間の本能だろうか。

「いえ、俺こそすみません。こんな場違いな場所初めてで。
ところで、お話ってなんですか?」

大した用じゃなければ飯を食って早く出たい。
俺は富原さんに話の催促を促した。
富原さんは、一つ咳払いをしたあとゆっくりと口を開いた。

「単刀直入に申し上げます。
あなた、執事になってみる気はございませんか?」
「は?」

思わずぽかんと口をあける。
執事ってあれだよな。
主人の家でスケジュール管理したり、身の回りの世話したり。

「実はですね、我が榊原財閥にはご子息が二人おられまして。
旦那様の命令で、おひとり様ずつ専用の執事がつけられることになったのですが、二男の幸人様の執事がまだ決まらないのです。」


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