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2

滝川先輩の親衛隊は、初め平凡な俺が恋人になったと言うのを聞いて、俺にいじめやいやがらせ紛いのことをしたり嫌みを言ったりしてきた。
だが、連日俺の後をひっつき回り変態丸出しにセクハラをしまくる先輩を見て逆に危ない時は助けてくれるようになり、今では有効な関係を築けている。


そこにある日、転入生がやってきた。


「はじめまして、長沢栄作(ながさわ えいさく)です」


長沢は背が高く、切れ長の一重の目に高い鼻。滝川先輩とはまた一味違った美形だった。
どこか冷たい感じのオーラを持っており、何だか第一印象があまりよく感じられなかった。

長沢は俺の隣の席になり、軽く挨拶を交わす。

「よろしく」
「あ、よろしく…」

なんだろう、その目が。まるで品定めをされているような気がした。



「しーんじー!お昼だよ、一緒にお弁当を食べよう!さあ、伸二の口に入れたものを俺に口移しで食わせてくれたまえ!」
「虫歯なのでお断りします」
「伸二の虫歯なら喜んで受け取るさ!なっても治療なんてしないよ」

昼になると先輩が相も変わらず気持ちの悪いことを叫びながら俺のクラスにやってきて抱きついてきた。
虫歯を治療しないと顎溶けますよ、そんな人とキスしたくありませんと言うと土下座をして謝る。

そんないつものやり取りを、隣の長沢がじっと見ていることに気づき思わずそちらに目をやると先輩も同じように長沢を見た。

「伸二、どうして俺じゃなくてこんな奴を見てるんだ?他の奴を見るくらいなら俺を蔑んだ目で見てくれ」

そう言って長沢を指差す先輩に、長沢は口元を軽く歪めると無言で席を立ち上がり教室から出て行った。
転校初日にこんなやり取りを目にするなんて嫌だったろうな。いつものことだから俺も気を使うのを忘れていた。後で長沢には謝ろう。

ぼんやり考えていると、先輩がいつの間にか俺の箸を口に入れてちゅうちゅう吸っていたので軽く殴り飛ばしてやった。
箸を交換しようとしたが先輩の箸も何やら濡れていたので親衛隊の子に割り箸をもらった。
確信犯かこのやろう。

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