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13

あれから、二年。僕は今高校一年生になって、良家の子息たちが多く通う全寮制の学園に通い、そこで生徒会の副会長を務めている。


和音様は山本グループの総裁としてとても忙しい身になり、海外へ行くことも多くなった。僕は進路を決める際、和音様にお願いをした。

この学園は良家の子息を多くあずかることからとてもレベルが高く、学力はもちろんあらゆることに対するスキルを取得するために必要な教育を行っている。


和音様とは、離れ離れになるけれども、この先ずっとおそばにいられるように。秘書として和音様の隣に並ぶのにふさわしい人間になるために、この学園に行かせてくれと頼んだ。

和音様は初めはとても渋った。自分の傍から離したくはない。勉強だって自分が教えてやれる。
でも、僕はそれを拒否した。和音様の傍で教わる限り、僕は絶対に甘えてしまう。いくら和音様が厳しいとはいえど、そこに恋人としての甘えや甘やかしが出ないとは限らない。それに、和音様はとてもお優しい方だから。きっと僕のために無理をしてしまうに違いない。とても忙しくなったその身を削ってでも、僕のためにと行動するに違いないから。だから、離れて暮らすことを望んだ。
…僕も、本音を言えば離れたくなどない。


でも、僕は、あなたのお役にたちたい。あなたにただ守って頂くのではなく。僕も、あなたを守れるように。

いつだって、胸を張って愛されていると自分に自信を持てるように。


「おい、もう休憩だよな?小暮のとこに行っていいか?」
「しつこいですよ。先ほどから5分しかたってません。」

鬼!と叫ぶ会長に持っている書類の束を投げつけてやる。会長はそれを掴むと、
『これは風紀委員に渡さなきゃいけないやつだな!よしきた任せろ!』と、脱兎のごとく駆け出した。

「こらまて、バ会長!!」

追いかけようと立ち上がった僕をまあまあと草壁がなだめる。

「いいじゃないですか。少し早めですけど休憩しましょう?僕と上村先輩も、少し外の空気を吸ってきますね。」
「会長がいないんじゃしょうがないですよね。わかりました。ではまた後程」

皆が出て行った生徒会室で一人お茶を口にする。

…恋人がいつもそばにいる彼らがうらやましくないわけではない。こんな時は少しさみしくてちょっと落ち込む。
それでも。

ピロリン、と僕の携帯がメールの着信を告げる。


「…義兄様ったら、もう」


『明日に戻る。ベッドで裸で待っていろ』


携帯を閉じて、胸に抱く。
離れているぶん、会えるときの幸せは計り知れないんだ。


『待ってます。うんと、かわいがってくださいね。』


ちょっとだけわざと和音様を煽るような文章を送り、ぱちんと携帯を閉じた。


「…早く明日になあれ」

きっと明日、生徒会の仕事をいつも以上に早く仕上げて帰ろうとする僕を見て会長たちに不思議に思われるんだろうな。


明日の仲間の顔や、ベッドで待っている僕を見たときの和音様を想像して頬をゆるませ、残りのお茶に口を付けた。


end
→あとがき

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