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9

本当に潰れそうなのは義祖父母の会社なんだそうで、義祖父母は和音様に援助を求めてきた。だけど和音様は援助を断りそれどころか義祖父母の会社を傘下から外し取引の一切を全面ストップすると宣言したらしい。

そこで自分たちの取引先の一つである会社の会長のあの中年男が男色であり、一度僕を見かけて気に入っていたことから僕を差し出すことで自分の会社も援助することの約束を取り付けたらしい。

「お前を傷つけることが俺への一番の仕返しにもなるし俺へのもっとも痛いダメージになると考えてのことだろう。相手はお前のことを何よりよく知る奴らだ。『俺のため』といえばお前は疑うことなく言うことを聞くと思ったんだろうな」

和音様の話の後半部分は、全くその通りだと思う。例えば『私たちの会社の為に』と言われたら僕はまず和音様に必ず声を掛けただろうから。でも、その前の、…。

「あの…」
「なんだ」

…聞いても、いいのだろうか。僕の、都合のいい聞き間違いなのかどうかを…。

「あの、ど、どうして、その…。僕が、あの、義兄様のダメージに…」
「それは、俺がお前を愛してるからだ」


さらりと、まるで当然だとでもいうように答えた和音様に僕は思わずぽかんと口を開けてしまった。
あ…、弟として、かも…

「言っておくが弟としてなどではないからな。」

僕の心を読んだかのように言われ、また僕は驚いて口を開けたままになってしまった。どういう意味なんだろう。それはつまり、僕の思う通りでいいのだろうか。…僕の、期待する通りの答えだと思っていいのだろうか。

「…本当は、お前がせめて高校生になるまでは言わないつもりだった。だが、こんなことで大事なお前を傷つけるくらいなら、初めからきちんと話しておくべきだった。お前が自分を犠牲にしようとなどする前に、お前に自分を大事にしてほしいとその理由を話すべきだった。
…愛夢。俺はお前を愛している。弟としてや部下としてなどではない。山本愛夢という人間を、一人の男として愛しているんだ。」

和音様は、まっすぐに僕を見て、真剣なまなざしで。僕を愛していると。そう言った。

「あ…」
「…気持ち悪いか。同じ男にそんな風に思われて。…だが、許してほしい。お前がその気がなくても俺はなんとしてでもお前に受け入れてもらえるよう努力するつもりだ。それでもどうしてもだめなら…」
「ち、ちがいます!」

和音様の言葉を遮り、必死になって頭を振る。気持ち悪いなんて、そんなことあるはずがない。あるわけがないよ。

「…僕、僕も、好きです!愛してます…!」

僕の言葉に今度は和音様が目を見開いた。その目が、戸惑いと驚きに染められている。

「ぼ、僕も、同じです。義兄さまとしてでなく、上司としてなどでなく。和音様が、好きです。ぼ、僕、この気持ちは絶対に言っちゃいけないって…、だからせめて義兄様のお役にたてたらって…っ…――――――っん…!」

涙を流しながら必死に気持ちを伝える僕の言葉を最後まで聞く前に、和音様は僕を思い切り抱きしめてキスをした。


甘い、甘いキス。これまで乾いていた全てを満たされるようなその行為に、僕は必死になって応えた。


「…愛夢。好きだ。愛している。俺のものだ。お前の全ては、俺の為だけにあるんだ。もう二度と、俺以外の奴にその体を触れさせるな…!」


和音様は僕の着物をはぎ取り、そのまま言葉通り全てを奪い去った。

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