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7

次の日、放課後に迎えにきた車がいつもと違うことに気がついた。

「愛夢さま、お迎えにあがりました。ご実家の方がお話があるそうで、本日はこちらへお帰りになるようにとのことです」

僕を迎えにきたのは、義祖父母の家の車だった。話ってなんだろう。…もしかして、和音様にやはり僕はいらないとでも言われたのだろうか。
頭に浮かぶ最悪の事態に、真っ青になりながらも車に乗り込む。やがて見慣れた屋敷に到着すると、義祖父母がいやらしい猫なで声で僕を出迎えた。



そして僕は、更なる絶望へと落とされる。



高級感溢れる和室に、怪しい赤いライト。一組だけ敷かれた、高級な和布団。
僕はそのまるで遊郭のような一室で、真っ赤な絹の着物を着て布団の上で正座をしていた。

やがて、部屋のふすまが開かれて太った中年の男が嫌らしい笑みを浮かべこちらに近づく。僕はがたがた震えるからだを抑えるので精いっぱいだった。


屋敷で僕を出迎えた義祖父母は、僕をとある高級旅館へ連れて行った。そこへ着くなり、一つの部屋へ僕を押し込み話をしだした。


「和音様の会社が、今危険な状況にあるそうだ。和音様の会社が潰れれば、山本の本家だけでなく分家やその傘下にまで被害が及ぶのはわかるな?」


僕は聞かされた事実に愕然とした。そんな。和音様が、そんな大変な立場にあるだなんて。
そういえば昨日執事長が慌てて和音様を呼びにきたっけ。あれはその話だったに違いない。

真っ青になる僕に、義祖父母は僕の肩をぽんと叩き話を続けた。

「だが、安心しろ。実はとある取引先様の会長がな、ある条件を元に和音様を救ってくださると言うんだ。
それがお前だ。会長はな、先のパーティーでお前を一目見て大層気に入られたそうだ。そこで、お前を愛人にすることができるなら、和音様の会社を助けようとそう仰られたんだ。」
「愛夢、お前は私たちや和音様に迷惑ばかりかけてきた。今こそその体を売ってでも恩を返すべきじゃないのか?」
「お前が我慢すれば和音様は助かるんだ。どうすればいいのかはわかるね?」


僕に選択肢などあるはずがなかった。


愛人。
その意味がわからないほどバカじゃない。つまり僕はこれからはその人に抱かれ、その人に囲われて生活をすることになる。


和音様以外の人に抱かれなければならないだなんて辛くて苦しくて仕方がない。

それでも、ああ、それでも。


それで和音様の役に立つことができるなら。
例え二度とお会いできなくなるのだとしても、あの人さえ幸せになれるのならば。


ゆっくり頷くと同時に、僕の頬に一筋の涙が伝った。

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