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10

チュ、と軽いリップ音を立てて離れると、原口が目を見開いて俺がキスをした頬を押さえものすごい勢いでこちらを向いた。

「じゃあ、一緒に探してくれないか?俺が浮気しないようにずっとずっとそばで見張っててくれよ」
「う、うん…。」

真っ赤になって俯く原口の隣に移動して、ひょいと抱き上げて膝の上に乗せる。

「き、北島!?」

焦ってわたわたと暴れる原口をぎゅっと抱きしめると、やがて大人しく俺の胸に頭を預けてきた。まさか、人を好きになることがよくわからないと言っていた原口が。俺の事を意地悪ばかりすると嫌っていた原口が、こんな些細なことでやきもちを妬いてくれるだなんて。

あまりに幸せすぎて、どうにかなってしまいそうだ。

「…あのさ…、俺も、やきもち…妬くんだけど」
「誰に?なんで?」

やっぱ、わかんないか。

きょとんとする原口をちょっと目線を泳がせながらちらちらと見る。

「…会長…。」

ぽつりとつぶやくと原口は目をぱちくりとさせた。

「…や、原口が、あの人に憧れてるってのはわかってんだけど。それでも、やっぱいっつもあの人の話ってのは…」


鳥小屋に行くのも、あの人がいるからかなーなんて思って。だけど、恋人になってすぐこんなこと言うのってどうかな。俺、独占欲の強い嫌な男って思われないだろうか。
内心ひやひやしてたので原口の顔を見ることができない。うう、これで嫌われたりしたらどうしようか。


「…きたじま」


顔を逸らす俺の首に原口がそっと手を回す。


ちゅ。


自分の頬に、柔らかい感触。
一瞬何が起こったのかわからなくて、そっと頬を撫で原口をまじまじと見つめた。
原口は真っ赤になって俺の首にしがみついたままだ。

「…お、俺が、こんなことしたいと思うの、北島だけだから…。」
「…っ、原口…!」


俺にしがみつく原口をぎゅっと抱きしめる。ああもう、お前ほんとに俺を夢中にさせる達人だよ。


机の上にある原口の携帯の、青いインコがこちらを見てる。


お前は俺の青い鳥になってくれた。ありがとう、の意を込めてウインクすると、何だかそいつが笑っているような気がした。


end
→あとがき

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