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7

次の日、学校に行くと輝は俺をいつもの溜まり場に連れて行った。沢山の不良に会うだなんて初めてでちょっと怖い。
そして俺は、溜まり場にいる包帯とガーゼだらけの痛々しい姿の不良たちにただ今現在進行形で土下座をされている。

「「「誠に申し訳ございませんでした」」」
「いや…、別にいいですよ…」

声を掛けるもがたがたと震えながら地面に額を擦りつけるのをやめない。輝はあの後、俺を暴行したこいつらをそれはそれはかわいそうなぐらい痛めつけたらしい。周りが止めに入らなければ殴るのをやめなかったであろうと幹部の人に聞かされた時にはこの人たちには申し訳ないけれど嬉しかったのも事実。


あの時、ほんとは輝に助けてほしかったんだ。


輝は後ろから俺を抱きしめ、ちゅっちゅと耳元にキスを繰り返す。

「よーた、いいの?そんなんで許しちゃうの?」
「や、だって俺より怪我ひどいじゃん…。もういいよ。つかお前、やりすぎ。かわいそうに…。」

俺がそう言うと、輝は先ほどまで俺に向けていたとろけそうな笑顔から一転ギラリと悪魔のような眼差しで這いつくばっている奴らを睨む。

「…だ、そうだ。よかったなあ、洋太が優しい奴でなあ?二度と下らねえマネすんじゃねえぞ。それから、次また俺の為だなんて言って誰かれ構わず手ぇ出した日にゃこれぐらいで済むだなんて思うなよ」
「「「は、はい!」」」

土下座していたやつらが体を起こして目の前から下がると輝はまたへにゃりと笑って俺の肩に顎を乗せてきた。

「よーた、ごめんね。俺、もっともっと頑張ってあの映画のつっぱりのような総長になるからね。嫌いにならないでね。嫌にならないでね。」


なんつー変わりようだ。


『あなたのために生まれ変わるの、こんな私は嫌かしら?』

ふいに流行の歌のフレーズが頭をよぎる。


俺は顔を輝の方へ向け、自分から軽くキスをした。突然の行動に、輝が目を見開いて固まる。


「輝、好きだ。」


なあ、輝。嫌なわけないよ。嫌いになんかなるはずがない。ガキの頃の俺の軽い言葉で自分を丸ごと変えてしまったお前を嫌いになんかなるはずない。


いや、きっと輝は変わってなんかない。変わったのは外見だけ。


中身はちっとも変わらない、愛しい愛しい俺だけのつっぱりに俺はありったけの思いを詰めてもう一度キスをした。



→あとがき

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