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6 総長side

「ヒロ、なんでゲームさせるのさ!あれ、どう見ても転んだ怪我じゃ…」
「…昨日抗争したチーム全員の足取りと、昨日の夜あいつの家の周りをうろついていたやつ全てを洗え。このチームの奴も例外じゃねえ」

太一郎がいなくなってすぐに怒りで黒いオーラをまき散らす俺にその場にいた人間すべてが体をびくりと硬直させ息をのむ。

「絶対に許さねえ。太一郎をあんな目にあわせた奴らは、死ぬほど後悔させてやる…!」

その時、視界の端に俺の怒りに震えた声に顔を青くしてびくりと一瞬体を硬直させた奴らがいたのを俺は見逃さなかった。あれは確か太一郎と同学年の奴らで、同じくチームの下っ端に位置する奴らだ。

「おい、そこの奴ら。こっちに来い」

俺が手招きするとますます顔を青くしてがたがたと震えながらゆっくりとこちらに近づいてきた。俺の目の前まで来させると、じっと睨む。全部で6人。

「…質問に答えろ。なぜそんな震えている」

俺の問いかけに皆きょろきょろと視線をさまよわせ、がたがたと震えている。なかなか答えないこいつらに苛立ちがまし、舌打ちをする。

「質問を変えよう。太一郎をやったのはお前らか」

核心をズバリと突くと皆が肩を跳ねさせた。


…やはりこいつらか…


その態度に確信を得た俺は怒りで目の前が真っ赤に染まるのが分かった。太一郎のあの怪我は一人一人が一回ずつ殴ったぐらいでは済まない。一体どれほどの暴行をはたらいたというのか。許せねえ。
いまだ俺の問いかけに答えないそいつらのうちのおそらくリーダー格であろう人物を思い切りぶん殴る。殴られたそいつは一回転して転がり血を吐き出した。まだまだだ。こんなもんじゃ済まねえ。太一郎はもっとひどい目にあったはずだ。殴られた顔を押さえてうずくまるそいつの前髪を掴んで顔を上げさせる。

「…っ、な、なんで、ですか…!だ、って、総長、いつもあいつのことうっとおしがってたじゃないっすか…!」
「だからてめえらで囲んで袋にしたってのか」

納得いかない、と俺に困惑した目を向けるそいつをがつん!と思い切り屋上の床に叩きつける。それを見た残りの奴らがひい、と情けない声を上げた。

「太一郎は俺のもんだ。俺の持ちもんにてめえら下っ端のクズが勝手に手ぇだしてんじゃねえ!」

がん、がん、と何度も何度も地面にそいつの顔面を叩きつけてやると仲間の奴らががたがたと震えだした。

「ばっかだねえ、君ら。ま、ヒロのことをよく知らない奴が見るとたいっちゃんを嫌がってるようにしか見えないかもね〜。…でもね、ちゃあんとヒロの事見てたらわかったはずだよ。ヒロがどれだけたいっちゃんに執着してるかがね。残念だけど下っ端のくせに総長をきちんと知ろうとしなかった君たちのミス。君ら以外の人間はヒロの事ちゃんとわかってたからね〜。」

だから大人しく制裁を受けるんだね、と真っ青になってがたがた震える太一郎を暴行した奴らに死刑宣告のような言葉を吐き、にやにやとアツが笑った。



「お待たせしました!」


しばらくして、太一郎が購買の品物を両手に持って屋上に戻ってきた。

「あ…、れ?」

だが、太一郎は屋上に集まるチームの仲間をぐるりと見渡し首を傾げた。


「太一郎」

俺がきょろきょろとする太一郎に声を掛け、側に来るように言うと太一郎はパンを抱えながらとてとてと俺の側に来た。

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