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3

それからも俺は相も変わらずそーちょーのハグをゲットするため奮闘していた。やっぱり五分の壁は破れないけど。
「アウト〜」と皆に言われて
「わあーん!」と俺が泣いて。
「懲りねえ奴だな」とそーちょーが笑って
「だってそーちょーが好きだもん!そーちょー好きです!」と俺が言う。
ちっとも相手にしてくれなくて、ちょっぴり切ないけど楽しい毎日。
相手にしてもらえなくても、そーちょーに毎日会えて毎日笑ってもらえる。それだけで俺はいつもほこほこするんだ。


そんなある日、俺は夜にコンビニに出掛けた帰り道に喧嘩をしている奴らを見かけた。
ふと顔をそちらに向けると、相手を殴り飛ばして勝ったのは俺のチームの同じく下っ端にいる同級生の奴らだった。
そーちょー以外喧嘩を見るのは初めてで、驚いて呆然としているとそいつらが俺に気付いて近付いてきた。

「こ、こんばんわ…」

周りを囲まれて思わず竦み上がりながらとりあえず挨拶をする。だって、同じチームの仲間だもんね。
そいつらは何がおかしいのか俺を囲みながらにやにやといやな笑いを浮かべていた。

「なあ、今日チームの抗争だったってお前知ってたか?」

囲んでいるうちの一人がにやつきながら俺に言う。
チームの抗争?なにそれ、知らない。

「知らねえだろうなあ。なんせ昨日の集会、お前だけ知らせないようにって皆言われたもんなあ」

「お、おれだけ?」


どうして。どうして、俺だけ集会の事も喧嘩のことも教えてもらえなかったの?
そーちょー、何も言ってなかった。幹部さんたちも、副そーちょーも誰も何も言ってなかった。いつも通り、笑ってご飯を食べてたのに。

「総長がな、直々に指令を回してたんだよ。集会と抗争の事はお前には絶対に知らせるなだとさ」

チームの奴の言葉に、俺はショックの余り真っ白になってしまった。

俺には、知らせるなって、そーちょーが。



顔色をなくして佇む俺を、チームの奴が笑いながらどん、と押した。
よろけて倒れそうになったけど、囲まれているので後ろの奴にぶつかる。

「おっと、何だよイテエな…っと!」
「うあっ!」

後ろの奴が、文句を言いながら俺を殴った。
その衝撃に、今度は逆によろけてぶつかる。

「おいおい、ぶつかってくんなよ、イテエだろ…ってな!」
「ぐうっ!」

今度はそいつが俺を殴る。またはね飛ばされて、違う奴に。また次も違う奴に。そうやって、俺を囲んだ仲間のはずの奴らは延々と俺を殴り続けた。

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