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そーちょーの近くでご飯を食べたいけど、そーちょーの周りは幹部の席だから下っ端の俺は隅っこからそーちょーを見ることしかできない。
近くに行きたいなあ。お膝に乗せてくれないかなあ。
「たいっちゃんはほんとにヒロが好きだねぇ〜」
いつの間に来たのか、副そーちょーの高木篤樹(たかぎ あつき)さんが隣にいて俺の頭をぽんとたたいた。
「お膝に乗りたいなら俺の膝にのしたげるよ?」
どうやらさっきの考え事が口から出ていたらしい。真っ赤になって慌ててぶんぶん首を振る。
「だめです〜。おれ、そーちょーが好きだからうわきしちゃだめなんですごめんなさい」
「つき合ってねえだろが」
副そーちょーに謝る俺を笑いながらずばっと斬り捨てる。ひどいや、そーちょー!
「たいっちゃんはバカでかわいいねー!そだよ、だから浮気なんかじゃないし!いいからおいでほら」
「やー!だ、だめですぅ!」
けらけら笑いながら俺を無理やり抱き上げようとする副そーちょーにじたばたと必死に抵抗する。
だめなんだもん!例えそーちょーが俺のこと何とも思ってなくても、そーちょーが好きだって言ってるのにそーちょーの目の前で他の人のお膝になんか乗っちゃったら俺の気持ちがそれくらいのもんだったんだって思われちゃう!
どんだけ必死に頑張っても元々背が低くて力もない俺が副そーちょーにかなうはずなんてなくて、ひょいと持ち上げられて膝に乗せられそうになった。
「や、やああ!」
「アツ」
半ば泣きべそをかきながら副そーちょーを見上げると、そーちょーが副そーちょーに声をかけた。
「うるさいからやめろ」
「ちぇっ、しょーがないなー。うるさいってさ。ほら、下ろしたげるからわめくな」
そーちょーに言われてようやく副そーちょーが俺を解放してくれた。
「そーちょー、ありがとうございます!やっぱり俺のそーちょーです、好きです!」
「誰がお前のだ。うるさいから止めただけだっつの」
「それでも助けてくれたんだもん〜!えへへ、そーちょー大好き〜」
呆れたように笑うそーちょーを見て俺は最高にラッキーだなあと思った。
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