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夢兎様リクエストで『受け溺愛総長×攻め大好きユルふわ下っぱ不良』です。ちょっぴり切なめ→ラブラブ甘エチ
18禁要素が入りますので苦手な方はご遠慮ください。
頑張ります!ではどうぞ♪
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早く、早く!あと30秒で時間になっちゃう!
わき目もふらず必死に走り続ける。階段だって二段飛ばし、心臓がバクバクいってるけど気にしない!
ばん!
「はい、時間切れ〜!残念だったね〜、今日もハグはなしだなー!」
「うひゃひゃ、残念でしたあ〜!」
屋上の扉を開けた瞬間にピピピと電子音が鳴り響き、タイムアウトの知らせに屋上にいた皆がげらげらと俺を指さして笑う。
ああ、間に合わなかった…!
その場にがくりとうなだれ膝をつき屋上にうずくまる。
「ひどいっすよぉ〜、扉は開けたじゃないっすかあ、おまけしてよぉ〜!」
俺は涙を浮かべながらやだやだと首を振った。そんな俺を見てふ、と微笑む極上の色男。我らがそーちょー、三島博次(みしま ひろつぐ)さんだ。
そーちょーの微笑みに俺は思わず頬を染めてもじもじとする。
「…まあ、時間切れだな。あきらめろ」
「そんなあああ!」
そーちょーのにやりとした微笑みに顔を赤くしながらもがくりとうなだれる。うう、いいって言ってくれるかと思ったのに…!そーちょーのいじわる!
俺は新藤太一郎(しんとう たいちろう)、高校一年生だ。二年の三島さんが率いるとあるチームに所属している。所属、といってもほんとのほんとの下っ端で、そーちょーに頼み込んで頼み込んでようやっと置いてもらえたというくらいのぺーのぺーのぺーだ。
俺は高校に上がってすぐに街で不良に絡まれた時、そーちょーに助けてもらった。その時のそーちょーがあまりにもかっこよくて一目ぼれしちゃったんだ!なんとかお近づきになりたくて立ち去ろうとするそーちょーについて行って、溜り場で「チームにいれてください!」って言ったら首根っこを掴まれてぽいってされてしまった。
それでも諦めきれなくてぐずぐず扉前で泣いてたら、また絡まれちゃって。またそーちょーが助けてくれた。
そんな俺を、半ばうんざりしたように「また絡まれでもしたら夢見が悪い」ってチームに入ることを許してくれた。
俺はもう嬉しくて嬉しくて、犬のようにそーちょーについて回っては
「そーちょー、すきです!かっこいいです!ぎゅーしてください!」
と迫る。そのたびにそーちょーは俺をかわいそうな子を見るような目で見て、ぺいっと投げ捨てるのだ。
そのやり取りを見ていた副そーちょー並びにチームの皆さんが、一つのゲームを提案した。それは学校の昼休み、ぺーぺーとしての仕事の一つである皆さんの購買のパンを買ってくると言う仕事で(ちゃんとお金はくれるんだ。さすがそーちょーのチームの人たちだね。)屋上でお金を受け取ってから購入してここまで5分以内に戻ってくること。無事時間内に戻ってくることができたなら、なななんとそーちょーにハグしてもらえるという超豪華景品のついたゲームだ!
ゲームが始まって三週間になるけれど、俺は今まで一度も時間内に戻ってこれたことがない。
どんだけ頑張っても、扉を開ける直前に時間切れになっちゃう。
今日は初めて、時間内に帰ってこれそうだったのに…!
にやにやと笑いながらパンを食べるそーちょーを恨めしく睨みながら、パックジュースをちゅう、と吸い上げた。
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