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26万ヒット、飴宮様リクエストで『傲慢王×巻き込まれ?平凡嫌われ→超溺愛(攻めは受けに対してだけ独占欲が強く嫉妬深い)』です。

トリップもの、若干ファンタジーが入ります。18禁要素も入る予定ですので、苦手な方はご遠慮ください。初めてのファンタジー…


頑張ります!
ではどうぞ♪
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じゃぶじゃぶ、じゃぶじゃぶ。雪のちらつく中、冷たい川の水で洗濯をしている男が一人。自ら手を上げ、はあ、と真っ赤になった手に息を吐きかける。

「おい、何をサボってる!さっさとやれ!」

男の後ろから、白いローブに身を包んだ美形な男が苛々と怒鳴った。

「はいはい、わかりましたよっと」
「なんだその態度は!」

男の投げやりな返事にかっとなった男が、洗濯をする男を持っている杖でがつんと殴った。

…いてえな、ちきしょう…

「おい、やめろよ!荘司になにすんだよ!」

後ろのテントの中から顔を出し、殴られた男を庇う一人の男。金髪でふわふわとした柔らかい髪、抜けるような白い肌。精巧なフランス人形を思わせるその容姿は見るもの全てを虜にする。

名を谷崎幸(たにざき こう)、という。

一方、殴られて血を流しつつも憮然とした態度を崩さない男。黒髪で短髪。容姿はいたって平凡。

名を森本荘司(もりもと しょうじ)、という。


二人は、家が隣同士の幼馴染であった。昔から幸はとてもかわいらしく、周りの皆に溺愛されて育ってきた。それはそれはばかみたいに。結果、このかわいらしい幼馴染は歪んで育ってしまった。

全ての人間は自分の虜。自分が一番。自分の言うことが一番正しい。自分は、愛されるべき存在なのだ。

幸は、昔から荘司を自分の傍に置いて離さなかった。いつもいつも、荘司は幸の傍にいるたびに比べられてきた。荘司の、実の親でさえも。幸にとって、荘司は自分を引き立たせるための大事な生贄。荘司をわざといじめられるように仕向け、それを庇うことで自分の評価が上がる。

荘司は、幸が大嫌いだった。荘司は昔から散々比べられて育ってきたがために、開き直りの早い何事にも執着しない人間に育ってしまった。いじめられて泣いたのも小学校一年まで。それ以降、幸の性格を理解した荘司は何をされても『どうでもいいし』と思うようになった。はっきりと本人の目の前でも『お前嫌い』と伝えている。だがそのたびに、幸は大きな目に涙を潤ませ『なんでそんなこと言うんだよ!』と茶番劇をはじめまた荘司が皆に責められる、というそんな毎日の繰り返しだった。

ある日、幸が田舎のおじいちゃんの家で不思議な書物を見つけたと荘司の部屋にやってきた。それはよくわからない外国の言葉で書かれており、なにやら異様なオーラを発していた。やめろ、と声を掛ける間もなく幸が表紙を開くと、途端に目の前が虹色の光に包まれた。眩しくて目が開けられない。ようやく光が収まり、恐る恐る閉じていた目を開けるとそこには見た事も無い景色が広がっていた。


幸が持っていたはずの本はどこにも見当たらず、ただただ自分の身に起こっていることについて行けずに『なんてきれいなとこなんだ!』とバカみたいに興奮している幸をよそに荘司は呆然と立ちすくんでいた。

そこに、この荘司を殴った男が現れたのだ。男の名はビショップと言った。幸を見るなり、

『神子が現れた…!占い師の予言が当たった!』

とひどく興奮して、幸の足もとに跪きうやうやしく礼をした。幸は美しい男に姫のように扱われとてもご満悦だった。どうか我らの町に、と手を引かれ、歩き出す幸は俺の手を掴んで離さなかった。怪訝な顔をするビショップに、こいつは俺の親友だから!と肩を抱く。気持ち悪くて思い切り手を払ってやると、いつものように幸が目を潤ませた。それを見たビショップが、あっという間に俺を汚らしい者として蔑む様になったのは言うまでもない。


「神子様、こやつが頼まれたことをきちんとせずサボっていたのです」
「そうなのか!なら荘司が悪いな!ビショップに謝れ!」

腰に手をやり、偉そうにふんぞり返る幼馴染に吐き気がする。

「てめえの洗濯もんくらいてめえでやれよ。」

そう言って洗っていたシャツをびしゃ、と川面に投げつけると幸がみるみる顔を歪ませた。

「な、なんでそんなひどいこと言うんだよ!」
「そうだぞ、貴様!神子様にそんな事させられるわけがないだろう!」

荘司はぎゃあぎゃあとわめく二人にめんどくさくなって無言でしゃがみ込み洗濯の続きをする。

「どうした、神子?」
「なにがありました?」

テントの中から、鎧に身を包んだ男らしい顔つきのイケメンと黒いローブをまとった優男なイケメンが現れた。この二人も幸の魅力に狂ったおかしなやつらだ。

「ショージが神子様に嫌がらせを…」

ビショップが言うと二人は途端に鬼のような形相になる。

「なら俺たちがきちんと躾直してやらねえとな。」
「ビショップ、神子様を中に。ここは寒いですからね」

ビショップが幸の肩を抱きテントの中に引っ込むと、二人がかりで荘司に対する躾という名の暴力が始まった。いつものことだ。殴られながら、荘司は早く終わらねえかな、などとぼんやり考えていた。

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