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6

たたたた、と急いで校門をすり抜ける。右に曲がったところでお目当ての車を見つけ、笹山は嬉しそうに顔をほころばせて駆け寄り、運転席を覗き込む。

「せ〜んせっ!」
「お前はまたそんなかっこして…。真面目になるんじゃなかったのか?」

金髪に、ピアス。だらしなく開かれたシャツに、だぼだぼのズボン。笹山は、以前の格好に戻っていた。

「いいの〜!だって、せんせが好きになってくれた俺だもん。だめ?」

両手を広げてこてん、と首を傾げる笹山に苦笑いをして、助手席の扉を開ける。笹山が乗り込むと同時に、神崎は笹山の口を塞いだ。

「ん…」

くちゅ、と絡められる舌にうっとりと目を閉じる。

神崎は、2か月後に違う職場に移ってしまった。小学生相手の進学塾だ。神崎の友人が塾長で、前々から来てほしいと誘われていたらしい。正直、学校で会えないのは寂しい。でも、神崎は笹山に合いカギをくれた。神崎のマンションの合いカギだ。受け取った時、笹山はしばらく涙が止まらなかった。
夢じゃない。笹山は、本当に神崎の恋人になれたのだと、カギを握りしめて泣いた。

「ふ…」

しばらく絡めあった後、ゆっくりと口を離す。

「ほんとにお前は困った子だよ。」

そう言ってにやりといやらしく笑う神崎に、笹山は胸がきゅんとなった。

「先生の言うことを聞けない子には、たっぷり指導してやらないとな。」

耳元で囁かれ、笹山はぶるりと体を震わせた。

「…ごめんね、せんせ。許して?」

こてん、と首を傾げる笹山に、神崎はまた口づける。


このかわいいいたずらっこ、どうしてくれようか。神崎は車を発進させ、助手席の笹山の手を握りしめた。


end
→あとがき


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