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5

「…お前がいなくなるなんて思わなかった…まじでびっくりした」

ちゅ、と頬に口づけて、頬を摺り寄せてくる。

「な、んでですか…。別に、僕なんていなくなったって困らないでしょ…?た、ただの家政婦代わりなんですから…」
「…お前それ本気で言ってる?」

ちら、と顔を上げると、袴田は悲しそうに眉間にしわを寄せていた。

「俺、言っただろう。お前に恋人になれって。家政婦になれって言った覚えはないんだけど」
「あ…、だ、だって…」

ひどく傷ついたようにため息をつく袴田に何だか申し訳ない気持ちになった。それでも、どう返していいかわからない。確かに。確かに、恋人だとは言われたけれど。

「…初めてお前がここに来た時に、お前見て思ったんだよ。こいつだって。片付いた部屋を見てひどく満足そうに頷くお前見て、ずっと俺の世話焼いてほしいって。…原稿盾に、なかば無理やり恋人にしちまったけど、いつか本物になれたらって…」

袴田先生の言葉一つ一つに、全身が震えるのがわかる。いつか、本物になれたら。先生も、同じ?俺と同じことを思ってくれてた?

「好きだ、修吾。ずっと俺の側にいてくれ。俺、家事とかも頑張るからさ。なるべくできるようになるから…。離れていかないでくれ…」

震えながら抱きしめる袴田の言葉に、修吾は胸がいっぱいになった。袴田の腕の中でくるりと向きを変え向かい合い、その腕を袴田の首に回す。

「お、俺っ…、せんせは、ずっと、俺の事都合がいいから、恋人にしたんだと…っ!だって、こ、恋人なのに、ちっともそんなそぶり、してくんないから…!」

ぼろぼろと泣きながら、袴田にしがみつく。袴田はそんな修吾を離すまいとぎゅっと抱きしめた。

「…無理やり恋人にしたから、手を出して嫌がられたらって思うと怖くてできなかったんだよ。お前、何も言わないし。いつも俺に怒ってばっかだし。俺に食って掛かるお前がかわいくてしょうがなかったんだけど、お前ほんとは嫌がってんじゃないかって…」

しゅんとする袴田に、修吾は涙に濡れた顔をそっと近づけ、キスをした。

「…好きです。先生が、好きです。」

袴田は修吾の告白に目を見開いて固まった後、満面の笑顔になってまた修吾に口づけた。

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