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なと様リクエストの『美形小説家×平凡担当者』です。恋人設定の甘々ご希望とのことで、またまた砂吐き注意です!


頑張ります!
ではどうぞ♪
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「まただ…」


玄関を開けて部屋にはいるなりげんなりしてため息をついたのは林修吾(はやし しゅうご)。今年で26才になる、とある出版社に勤める至って平凡な男だ。
顔は平凡だが背がそんなに高くなく、丸い顔で年よりも若く見られがち。それが悩みでもあるのだが、今彼の頭をもっとも悩ませてるものがある。


「先生!洗濯物はきちんとカゴに入れてくださいって言ったじゃないですか!」
「いいじゃねえか。どうせお前が拾って洗濯かごに入れてくれるんだろ?どうせお前が洗うんだから洗うやつが拾っていく方が洗濯仕分けもできるし効率がいいじゃねえか」

何て屁理屈!にやりと笑う美男子に、修吾はぐっと言葉に詰まる。
この美男子は袴田海人(はかまだ かいと)。何本も連載を抱える超売れっ子小説家だ。玄関からリビングにまでぽつぽつと落とされた洗濯物を拾いながら修吾はため息をついた。

悩みとは、これ。

修吾は半年前に袴田の担当となって、初めてこの家に足を踏み入れた時に卒倒しそうなほど驚いた。

「汚い!!」

洗濯物がそこらじゅうに放り出され、キッチンでは洗い物の山。リビングのテーブルの上にはカップ麺などのごみがそのまま放置され、部屋にはほこりが溜まりに溜まっている。元来家事好きで世話焼きでもある修吾は、袴田に挨拶するよりもまず部屋の片づけを始めてしまった。

ピカピカになった部屋を見て満足そうに腕を組み汗をぬぐう修吾の前に、無精ひげを生やした袴田が作業部屋からのそりと現れた。

「…なんだこりゃ。お前がやったの?」

別物のようにきれいになった部屋を見て袴田が呆然と立ちすくむ。しまった!何の許可もなしに勝手にしてしまった!しかも挨拶もせずに…!

「す、すすすみません!あまりに汚かったので思わず…!ぼ、僕、今日から袴田先生の担当になりました林修吾です。よろしくお願いいたします。」

もしかしたら、怒られるかも。びくびくしながら頭を下げる修吾に、袴田はにやりと笑った。

「お前、俺の恋人になれ。」
「は?」

突然の申し出に今度は修吾が呆然と立ちすくむ。
なんだって?恋人?

「いいだろ?俺ぁ全くと言っていいほど片付けや料理が出来ねえ。お前はそれが得意。そりゃ恋人になるしかねえだろ」
「どんな理屈ですか!」

家事ができるから恋人だって!?それじゃ家政婦と同じじゃないか!

「いいじゃねえか。…お前、原稿欲しくないの?」

原稿。
そりゃ欲しい。その為に僕はここに来たんだもの。別にこの部屋を掃除するために来たわけじゃない。

「な?お前が恋人になってくれりゃ部屋は片付く、その分原稿が進む。お前も上司に褒められる。お互いいいことづくめじゃね?決まりな。」
「そんな横暴な!」
「じゃあお前ンとこの原稿はもう書かない」

ひ、卑怯者!
原稿を人質(?)に取られては仕方ない。修吾は渋々申し出を受けることにした。


そして、今に至るのである。

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