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拉致された場所は俺なんかじゃ一生泊まることはないであろう都内の高級ホテル。
いやん、私こんなとこ初めてー
なんてときめくかばかたれ!
今俺は人生最大のピンチに陥っている。なぜか?それはだな、
拉致ったヤツが俺をベッドに押し倒しているからだ!
「はなせ!離してくれー!」
じたばた暴れるも、しっかり押さえ込まれて身動きがとれない。
「恥ずかしがってカワイイね。大丈夫、キミの気持ちはちゃんと受け取ったよ。公衆の面前で『ぐっと押し倒してほしいわ』だなんて、なんて熱烈な告白だ。」
「あほー!ちがうからー!『うっとおしいわ』だからー!勝手に聞き間違えないでええー!」
いやいやと首を振り叫ぶと、そいつは顔を真っ赤にした。
「そんな…!『愛を誓うから』だなんて…!しかも、『体を好き勝手にして』だって!?ああ、どこまで俺を煽れば気が済むんだい?俺も誓うよ。一生愛してる。」
「ちが…、うむぅ!」
言い訳をしようとした俺の口を思い切り塞いできやがった。なんて耳してやがんだ!ああ、英語をもっとちゃんと勉強していればよかった。
「ひ、ぁ、んやっ!」
気がつくと俺の服の裾からそいつの手が潜り込み、脇腹を撫で回していた。
初めての感覚に、ぞくぞくと体に電気が走る。
「やめ…、やめてえぇ」
いやいやと首を振るもそいつはなんだか余計にギラギラした目になった。
「…『やって』だなんて、そんな誘い文句…!もちろんさ、うんと気持ちよくしてアゲルから!」
もういい加減わざとじゃないだろうな!?
そんな俺の恨みがましい視線を無視して、そいつはふんふんと鼻息を荒くして、更に這い回る手の動きをいやらしくした。
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