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2

その次の日から、慶一は翔也と共に行動するようになった。翔也が
「もうそろそろ話しかけてみる?」
と聞くと
「まだ怖い…」
と泣きそうな顔をする。慶一が自分に話しかけるたび、クラスの皆が自分たちに視線を投げる。翔也はその視線を浴びるたびに、とても悲しい気持ちになった。

慶一は本当にいい子だ。とても優しいし、表情豊かで明るい。こんないい子が、どうして皆から避けられなければならないのだろう。高嶺の花、とは言うけれど。
翔也はある日、慶一がいない時を見計らってクラスメイトに声を掛けた。

「なあ、みんな。慶一の事、どう思う?」

翔也の突然の問いかけに、クラスの皆が顔を見合わせる。

「どうって…、い、いいやつだよな?」
「う、うんうん!き、きれいだし、この学校のアイドルだよ!」
「そうそう!」

翔也はそれを聞いてほっとした。よかった。やはり慶一は嫌われているわけではない。やはりみな、きれいすぎる慶一にどう接していいかわからないだけなんだな。

「あのさ、ならみんなで話しかけてみないか?あいつ、自分はクラスで嫌われてるんじゃないかって悩んでるんだよ。俺、慶一のそばにいて見てるからさ。あ、ちょっと離れてた方が話しかけやすいかな?」

翔也の提案に、クラスの皆が勢いよく首を左右に振った。

「と、とんでもない!離れるだなんてやめてくれ!」
「そ、そうだよ!二人の間に入って話しかけるだなんて、命知らずな!」

命知らずってなんだ?顔を青くして慶一との会話を拒むクラスメイトに、ちょっと悲しくなる。

「…翔也…」

ふと気が付くと、慶一が眉を下げ、後ろに立っていた。慶一の姿を見たクラスメイト達が、そそくさと去ってゆく。


慶一…


「大丈夫。大丈夫だよ、慶一。俺がいるから。な?」

しゅんと俯く慶一に胸がぎゅっとなって、思わずそっと抱きしめた。

「…うん、ありがと…。僕、翔也がいればそれでいい…」

控えめに、自分を抱きしめ返す慶一に、翔也は胸がドキドキと高鳴った。なんだろう、この感情は…。俺、もしかして慶一の事…?
慶一を胸に抱きながら、翔也は自分の気持ちの戸惑いを隠せなかった。



その日の放課後。慶一は翔也のいない教室で、クラスメイト達を睨みつけていた。翔也は今、委員会で会議に行っている。慶一に睨まれているクラスメイトは、みなおどおどと視線をさまよわせた。

「なんでもっとうまく演技できないかな。」

苛々と言い放つ。

「ご、ごめんって。まさかいきなり話しかけてくるなんて…」
「しかもお前に話しかけろって言われたんだぜ?そりゃテンパって受け答えもおかしくなるっての」

ぽつぽつと言い訳をする皆をぎろりと睨むと、皆ひっと息をつめすくみ上った。


「それで思わず『命知らずな』なんて言っちゃったってのか?ばかじゃないの。これで翔也にバレちまったらお前らみんなケツにバラの花差し込んで人間生け花にしてやるからな」

慶一の言葉にクラスの皆がお尻を押さえ、縮み上がって身を寄せ合う。
そう。この、クラスの皆を従え鬼畜な発言で怯えさせている慶一こそ、彼の本性。俺様何様女王様、高槻慶一様だ。

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