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5

今日一日、学校中がその話で持ち切りだった。大野は放課後、美術室に向かいながら二宮の事で頭がいっぱいだった。


花園先輩は、この学校で一、二を争うほどの美貌の持ち主だ。自分の消えた後のバーか、それともどこかで花園と知り合ったのだろうか。
大野は胸が張り裂けそうだった。


美術室に着くと、中に人の気配がした。扉を開けて中に入ると、花園と二宮がいた。

「よう、大野。」

いつものように挨拶をしてくる二宮に、ぺこりと頭を下げる。花園が自分を睨んでいるのがわかる。
…よりによって、二人一緒にいるところに来てしまうなんて。大野は二人を見たくなくて、わざと視線を合わせずにキャンパスの用意をする。

「なんだよ、いつもにもまして愛想の無い奴だなあ。おい、先輩にも挨拶しろよ。」
「…こんにちは」

にこにこと笑いながら話しかけてくる二宮に苛立ちを覚える。それでもなんとか花園に挨拶をする。花園が自分を明らかにバカにするような視線で見ているのがわかる。恐らく、二人きりの所を邪魔されて怒っているのだろう。

「何だよ大野、やきもちか?」

いつもの二宮の冗談も、今日は返せそうにない。黙ってキャンパスに向かう大野に、二宮が怪訝な顔をする。

「おい、大野」
「ね、先生。そんな子どうでもいいじゃない。ね?僕といちゃいちゃしてよ。せっかく再会できたのに。」
「あ、ああ。そうだな。」

…ああ、やはり。噂は本当だったんだ。
ちらり、と二人に視線をむけると、花園の腰を抱いて笑う二宮。人目もはばからず二宮に抱きついている花園。いちゃつくならよそでやってくれ。大野はズキズキと胸が痛んだ。

キャンパスに向けている筆を進めることができない。どうしよう。普通に、いつも通りにしなくちゃいけないのに。

様子のおかしい大野に気付いた二宮が大野の傍によってきた。

「おい、どうした大野。大丈夫か?」
「…っ!」

急に声をかけられて肩を叩かれ、大野は筆を落としてしまった。その拍子に、筆についていた絵の具が花園まで飛んで制服にかかってしまった。


「ちょっと!なにすんのさ、汚い!」
「あ…、ご、ごめんなさ…」


花園がものすごい勢いで大野に食って掛かり、制服についた絵の具を、ひどく汚らしい物が付いたかのようにごしごしとハンカチでこすった。

「わざとやったんでしょ?何、僕が先生といちゃいちゃしてるのが悔しかったの?平凡のくせに、先生にいっちょ前に惚れてるんでしょ!」
「おい、花園!」

二宮が花園を止めようとする。


「…ご、めんなさい。ごめんなさい…!」

花園の言葉に、大野はたまらず美術室から飛び出した。

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