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6

「ゆう、ゆう」


次の日、いつものようにとてとてと裕輔の元に近づいていく広大。その姿を見て周りの生徒たちはほっと胸をなでおろした。今日もブレザーの裾を持って後ろをついて回るかわいいかるがもが見れるかな。
皆わくわくとシャッターチャンスを狙っている。

…あれ?

だが、ひとつだけいつもとは違った。広大は、裕輔の隣に立った。


「ふ、藤井。後ろに行かなくていいのか?」


クラスメイトが広大に声をかける。定位置はそこじゃないだろう。広大はぽっと顔を赤くし、裕輔をちらりと見る。


「えへへ、恋人は隣で歩くです!」


そう言って、きゅっと裕輔の手を握った。クラスメイトは、広大のまさかの答えに皆口をぽかんと開けたまま携帯を片手に固まった。そんな皆を置いて、広大は裕輔と食堂へ向かう。


「あう!」

と、歩き出した途端広大が躓いた。だが、裕輔がつないだ手を引き、ぽすんと広大を胸に収める。そして、そのままひょいと抱っこしてしまった。

「ぼ、僕、歩けるですよ!」

真っ赤になって裕輔を見ると、裕輔はにこりと微笑んでいた。

「…あ、足ひねったのわかるですか…」

広大の言葉に、微笑んだままこくりと頷く。仕方ない。裕輔には、何でもお見通しなんだもの。真っ赤になって、広大はぎゅうと裕輔にしがみついた。


「コアラ…」
「こざる…」


そんな二人を、周りの生徒たちが必死に写メを撮っていた。当の本人たちはつゆ知らず。


「ゆう、大好きです。」


裕輔はにこりと微笑み抱き着く広大にちゅっと口づける。


「…お声でちゃんと聞きたいです…」


真っ赤になってぷうと膨れる広大に、裕輔はまた軽く口づける。


「俺も大好き。」



広大はまた裕輔にぎゅっと抱き着く。裕輔の声は、広大にとってまるで極上の砂糖菓子。かわいい広大は、裕輔にとって極上の砂糖菓子。甘すぎる二人は、学園名物の砂糖菓子。



今日も甘いお菓子を召し上がれ。


end
→あとがき

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