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5

「迷惑だ、なんて言ってないけどな。…よく面倒見てるだろって言われたから、別に面倒を見てるわけじゃないっていったけど。」


裕輔の言葉を聞いて、広大が目を丸くする。あの時の『別に』。あ、あれ、初めの方の言葉への答えだったの…!?


裕輔は、僕のことをかわいいと思ってないわけじゃなかったです…。


そう考えてほっとして、また広大ははたりと気が付く。裕輔が、かわいいと思ってないわけじゃない。


ぼ、僕、そう思ってどうして喜んでるですか…?


ひとりあくあくとパニックに陥っている広大の頬を、裕輔がそっと撫でる。

「迷惑、なんて思わないよ。それどころか、可愛くて仕方ないのに。…広大は目が離せないから。なのに、最近なんでか何でも一人でしようと頑張っちゃって。…どうしたの?俺はもういらない?」
「ち、違うです!」

裕輔の言葉に、慌てて広大が大きな声を出した。

「こ、声…」
「声?」
「…ぼ、僕があんまりできない子だから、ゆうはお話してくれないんだと思ったです。い、今まで、声を聞いたことがなかったのに、先生にはお話してたから。だから、僕…。ちゃんと一人でできる子になったら、ゆうが僕ともお話してくれると思ったです。ゆうが僕を面倒だと思ってお話してくれないなら、一人でできるようになって、ゆうと並んでお話できるようになろうって…」

じわりと涙を浮かべてそういう広大に、裕輔はちゅっと軽く口づけた。

…なに、いまの。

一瞬、なにが起きたのかわからなくて広大がきょとんとして黙る。

「…ごめん。元々話すのが苦手なんだ。話をしなかったのは、広大が俺の言いたいことをいつもわかってくれてたから。無口な俺を嫌がりもしないでいつもにこにこ後をついてきてくれるから、嬉しくてそのままでもいいやって思っちゃったんだ。広大といる時は、俺にとってすごく安らぐ時間だったから。…でも、悲しい思いをさせちゃったんだね。
俺もね、広大。大好きな広大といっぱいお話したい。広大の事をもっと知りたい。」
「だ、い、すき…?」
「うん。俺、広大が好きだよ。大好きだ。毎日君の世話を焼くのが楽しくて仕方なかった。一人でやることももちろん大事だけど、無理はしないで。大好きな君をちょっとだけ助けさせてもらえると、俺は嬉しい。」

自分を見つめ、にこりと微笑む裕輔の告白に、広大はじわじわと顔が熱くなる。好き。大好き。裕輔が、僕を好き。


「ぼ、僕も好きです!ゆう、大好きです!」


裕輔に迷惑だと思われて悲しかったのは、裕輔が好きだから。かわいいって思ってないわけじゃないと知って嬉しかったのは、裕輔が大好きだから。
広大は目の前の裕輔に飛びつき、わんわんと泣いた。

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