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6

「…っ、佐山!」


走っていた自分の腕を急に後ろから掴まれ、がくんと倒れそうになる。
その瞬間、佐山はぎゅっと誰かに抱きしめられた。

「…!?」

驚いて顔を上げると、そこには汗だくになった秋元の顔があった。

「…、お、まえ、けっこう足、速いのな…」

はあはあと息をしながら、佐山をぎゅうと抱きしめる。佐山は、自分がなぜ秋元に抱きしめられているのかわからずに困惑して秋元を見つめた。

しばらくそのままの体制でいたが、佐山の方が背が高いので少しつらい。身を捩るとそれに気づいた秋元がそっと抱きしめている腕を離した。

「あ…、ごめん」

佐山の謝罪を聞いた秋元が、かっと顔を赤くして佐山を睨む。

「だからっ…、なんでお前は謝ってばっかなんだよ!」

秋元が大声で怒鳴り、佐山は体をびくりと竦ませた。またやってしまった。どうして俺は彼を怒らせるようなことばかりしかできないんだろう。
じわりとまた涙が目に浮かぶ。

「…ごめ…」
「謝るな!」

また謝罪の言葉を口にしようとした佐山の肩をがしりと掴み、謝罪を遮る。これ以上嫌われたくない。秋元の言うとおり、ぐっと言葉を飲み込んだ佐山は、目の前にある秋元の表情を見て混乱してしまった。



…なんで泣きそうなの…?



「怒れよ!僕になんで怒って言い返さないんだよ!…お前がっ、怒ってくれないとっ…、僕が謝れないだろ…!」

そう言って秋元は、佐山を正面からぎゅうと抱きしめた。


「お前は、お前は…っ!いつもいつも、謝ってばっかで…!」
「秋元…」


秋元が、ぎゅうと抱きしめる腕に力を込める。


「…好きだ、佐山…!」

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