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風紀委員長は、品定めするかのように高雅を見た後、先ほど自分のいた風紀室の方を見る。高雅もつられてそちらに目をやった。
そこには、また別の風紀委員に何やら真剣な顔で指導をしている陸斗。
「彼は美しい。そう思わないか?」
高雅は、ふと話しかけられ委員長の方を見た。
「私は彼ほど可憐で清楚で気高い人間を見たことがない。彼は私の理想の華なのだ。…そんな儚い、麗しい彼が君のような平凡で汚らしい男を抱くだなんて、間違っていると思わないか?」
風紀委員長は、黙って自分を見つめる高雅に向き直り、挑戦的な眼差しを向けた。
「間違いは正してやらないといけないのだ。彼は、私のような人間に抱かれるのがふさわしい。私は君から彼を救い出し、本来あるべき姿に戻してやる。」
挑発したにも関わらず、高雅は表情を変えずにじっと菱沼を見つめている。菱沼は負けじと高雅を睨んでいた。
「どうかされましたか?風紀委員長」
しばらく続いた硬直状態を破ったのは、陸斗だった。用事が終わり、高雅に気付きこちらに来たらしい。
「彼が何かしましたか?すみません、私から指導しておきますので…」
そう言って、高雅の肩をそっと抱く。
「いや、なにもない。彼にはちょっと忠告をしただけなのでね。失礼するよ」
立ち去ろうとすれ違った瞬間、菱沼はニヤリと高雅に勝ち誇った自信に満ちた笑いを向けてきた。
「高雅、どうしました?」
黙ったまま動かない高雅を、陸斗が覗き込む。と、高雅が突然陸斗の腕を引いて歩き出した。
「こ、高雅?どうしたんですか?どこへ行くんですか?」
陸斗の質問にも答えず、高雅はただひたすらに歩く。
ようやく歩を止めたそこは、校舎の裏。あまりひとのこない、周りからはちょっとした死角になっている裏の隅だった。
校舎にもたれ、高雅は無言で下を向く。
「高雅…?」
高雅は、先ほどの菱沼の言葉を思い出していた。委員長は、陸斗が俺を抱くのはおかしいっていった。陸斗は、自分に抱かれるべきだって。それを聞いて、高雅は今まで味わったことのない気持ちでいっぱいだった。
なんで、あの人は陸斗を抱くとか言うの。陸斗は俺のなのに。俺が好きで、抱いてくれるのに。
「…いいんちょ、きらい」
ぽつりとつぶやく高雅に、陸斗がきょとんとした。
「だって、だっていいんちょ、陸斗が俺とえっちするのおかしいっていった。いいんちょが陸斗を抱くって言った。なんで?陸斗、いいんちょとえっちするの?俺にするみたいに、いいんちょにしてもらうの?」
泣きそうな顔で言う高雅に、陸斗はぽかんと口を開けた。
何言ってるんだ、このにゃんこは?
ふと気配を感じて目線だけ校舎の端に移すと、菱沼がこっそりこちらの様子を覗いているのが見えた。
…なるほど、そういうことですか。
おそらく、あとをつけてきたのだろう。一瞬にして全てを理解した陸斗は、くすりとわずかに口元を歪めた。
「…高雅」
泣きそうな顔をしている高雅の頬にそっと手を添える。目を上げた高雅に、にこりと優しく微笑んで軽く口づけてやる。
「バカですね。私はあなたが好きだと言っているでしょう?あなた以外を抱く気もありませんし、抱かれる気もありません」
「…りく……、ん…」
高雅に深く口づけ、その愛らしい口を貪る。
「んく…、は、ん…っ、ンァ、りく、…――――やんっ!」
口付けに夢中になっている高雅に気付かれないようにそっと手を後ろに回し、腰から手を入れてふいに蕾を指先でつついてやった。
「あ、んっ、りく、…っんむぅ、はぅ…っ、あぁん…!」
口付けをしながら指先で入り口をつんつんとつつき、2本の指で蕾を挟みくぱくぱと開閉してやる。それだけの刺激で高雅は体をがくがくと震えさせた。
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