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4

抱き着いていたやつも伊集院に気づき、慌てて俺から離れる。


「い、伊集院様!ち、ちがうんです、これは…」


必死に言い訳しようとするそいつにちょっと感心する。…さっきの話、ちゃんと聞いてくれたんだな。
伊集院は涙を拭おうともせずに、駆け下りてきてがばりと俺に抱き着いた。


「…き、いてた…!聞いてた、から!しのぶ、忍…っ!!俺、俺…っ、う…、うああぁ、ん…」


ぎゅうぎゅう俺を抱きしめながら、声を上げて泣く伊集院の背中を優しく撫でる。


「あは、恥ずかしいもん聞かれちゃったかな。ま、いいか。崇はいつも俺以上にストレートなこと言ってくれるもんな。…崇、好きだよ。俺がどれくらいお前に夢中か、ちょっとはわかってくれたかな。」

俺の言葉に、何度も何度もこくこくと頷く。その様子を見ていた俺に嘘の告白をしてきたやつが、頭を下げて静かにその場を去って行った。


「忍、忍…」


しばらく抱き着いて泣いていた伊集院が、今度は甘えて俺の胸にすり寄るようにして抱き着く。俺の名を何度も呼びながら、頬を摺り寄せついばむようにキスをする。
その仕草が、求愛をする小鳥のようで。


「…青い鳥を捕まえたのは、俺なんだよね」
「なに?」

ふとつぶやいた言葉に、伊集院が顔を上げる。今度は、俺からキスをする。


「いや、幸せの青い鳥って、ほんとにいるんだなってさ」
「さ、さっきのやつのことか!?」

いやいや、違うでしょ。なんでそうなるの。眉を寄せ切羽詰まった顔で俺に迫る伊集院がかわいくてまたキスをする。途端に真っ赤になって俺の胸にぐりぐりと顔を埋めた。

「だ、だめだからな!さっきのやつ、忍に抱き着きやがって。あれは絶対、忍に惚れたんだ!絶対にそうだ!」

ぎゅうと胸に抱き着きながらそういう伊集院ににこりと微笑み、両手で顔を挟んで顔を上げさせた。


「だから言ってるでしょ。たとえそうだとしても、俺は崇以外いらないんだって。俺のかわいい青い鳥。もう逃がさないから」
「う、うん…。逃がさないで。ずっと捕まえてて…」


真っ赤になる伊集院に、もう一度今度は深く口づけた。


end
→あとがき

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