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「は、原口さん、おはようございます!」
「うん、おはよう。…てか、君どしたの?なんか用事?」

次の日。飼育小屋にいると昨日俺に告白してきたやつが現れて挨拶をしてきた。飼育小屋は校舎からちょっと離れているしその周りは何もないため、こんなとこにわざわざ来る奴なんて俺と弟以外にいないんだけど。

「い、いえ!原口さんに挨拶がしたくて来ただけなんです、気にしないでください!じゃあまた!」

ぺこりと頭を下げて走って校舎に戻っていった。なんなんだ。
その後しばらくして、伊集院がやってくる。…顔がむくれてますけど。

「おはよう忍。…浮気はだめだからな。」

浮気って。
拗ねてる顔がかわいくて思わず笑ってしまった。伊集院は笑う俺を見て、泣きそうな顔をする。

「ごめんごめん。崇があんまりかわいいから、つい。浮気なんかしないよ、こんなかわいい恋人がいるのにできるわけないでしょ。なんかわざわざ朝の挨拶しにきたんだってさ。変わり者だよね。」
「何年何組の誰だ!完璧に忍を狙ってるじゃないか、俺様が直接文句を言ってやる!」

説明するとたちまち怒り出した。確かに、ただ挨拶しにきただけって言ってたけどこれはあんまりよろしくない。伊集院を不安にさせちまったか。俺は今までモテたことなどないので、こういうことには疎いらしい。
断ったから問題ないと思っていたんだけど、もし万が一伊集院の言うようなことならばこれは困る。

「…ごめん、実はクラスも名前も知らないんだ。向こうが名乗らなかったし、聞く必要もないかと思って。」
「聞く必要ないって…なんで」
「え?当然でしょ?名乗ってきたならまだしも、付き合う気もないのに自分から名前聞いたりしないよ。そりゃ俺なんかに告白してくれてありがたいとは思うけど応えることができないんだからさ。」

俺の言葉を聞いて、伊集院がほっとしたような顔をした。

「ごめんな、俺、好きになったの崇が初めてだから恋愛に疎くて。不安にさせてごめん。心配しないで、俺は崇以外興味ないから」

そう言ってにこりと笑うと、伊集院は真っ赤な顔でぎゅうぎゅうと抱きついてきた。

「お、俺様も、好きになったのは忍が初めてだ。だから、ごめん。忍を信じてないわけじゃなくて…」

眉を寄せる伊集院の顔を挟み、キスをする。

「ん、わかってる。大丈夫だよ。」
「すき。しのぶ、好き。」

にこりと笑うと、ちゅっちゅと何度もキスされた。我慢なんてできるわけないでしょ。二限までサボりました、ごめんなさい。


「原口さん、おはようございます!」
「こんにちは、原口さん!」
「今から飼育小屋ですか?がんばってください!」


これまたびっくりなことに、あれからそいつはしょっちゅう俺の前に現れた。一言声を掛けては、こちらの返事を聞かず去っていく。いつも俺はあっけにとられ、ぽかんとしてしまう。

伊集院は俺に告白してきた奴を直接見ていないので調べようがない。だから応援し隊のやつらにそいつに身元を教えろと頼んだらしいけど恋を応援し隊とかのやつらには、俺から伊集院に教えないでほしいと頼んである。教えたら最後あいつはマジで乗り込んで行くだろう。そんなことをして万が一伊集院の評判や信用に何かあってはいけないし、ないとは思うが伊集院にもしものことがあっては困る。

これ以上好きにさせるわけにいかないな。


「ちょっときてよ」


放課後、姿を現したそいつが口を開く前に腕をつかんで逃げ場のない階段下に連れて行った。

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