1
88888キリ番の方リクエストで『青い鳥の原口視点』です。
10万打祝いのお言葉、ありがとうございます!
頑張ります!
ではどうぞ♪
―――――――――――
「原口さん、好きです!付き合ってください!」
「ごめんね、俺恋人いるから。」
俺は原口忍。全寮制の男子校に通う至って平凡な男だ。ちょっと人と違うのは、鳥が大好きなこと。この学校の生徒は良家のおぼっちゃまが多くて、情操教育のためとか言ってでかい鳥小屋に沢山の鳥を飼っているくせにそんなものを世話できる奴なんているわけもなく。皆が嫌がる飼育委員を喜んで買って出た。
大好きな鳥に囲まれて幸せな毎日。
あ、もう一つ俺が人と違うところ。
「忍」
この学園で絶大な人気を誇る生徒会長、伊集院崇。その超人気者が、俺の恋人だってこと。
にこにこと花のような笑顔で俺に駆け寄り、抱きつくと同時にキスをしてくる。
「仕事、お疲れ様。」
抱きしめてにこりと笑うと、ぽっと頬を染めてぐりぐりと頭を肩口にすり寄せてくる。かわいいだろ?
伊集院との最初の出会いは最悪だった。こいつは学園一のカリスマな為、俺様何様、傲慢で高飛車な男だった。小屋から逃がしてしまったインコを追いかけた先にいたのが伊集院だった。捕まえてくれていたので礼を言うと、近付きたくてわざとインコを逃がしただろうとか、平凡風情がとかとにかく罵倒されたのを覚えている。
あれは衝撃だった。学園全員が自分に夢中だと思ってたらしいからな。
それから何故か俺のいる飼育小屋によく現れるようになって、俺はあまりにえらそうな伊集院に好意なんて少しも持てなかったんだけど。
毎日、話し掛けに来てくれる伊集院が、からかってるだけとは知りつつ待ち遠しくなっていた。
そんでまあ、なんやかやとあって伊集院が何故か俺に好きだと告白してくれて。ベタぼれしてくれてるこいつを俺も溺愛してるってわけ。
「…忍、今日告白されたんだろう。」
「あれ、なんで知ってるの?ついさっきの事なのに」
驚いた。確かに俺は、ついさっき初めて見る奴に告白された。でも、伊集院とは完璧に入れ違いだったからこんなに情報が早いわけないんだけど。
「俺様達の恋を応援し隊の隊長が見たと連絡をくれたんだ。」
そんなのいつ発足したの。
「ちゃんと断ったよ。かわいい恋人がいるからね。ていうか、俺なんかに告白してくるやつがいるなんて思わなかったからびっくりしたけどね」
むくれている伊集院に言うと、ますます頬を膨らませた。
「何言ってるんだ。忍はこの俺様の惚れた男なんだ。忍の魅力に気づく奴が出てきてもおかしくない。何年何組の誰だ?俺様がはっきり言いに行ってやる」
ぷりぷり怒る伊集院に、にこりと微笑みちゅっとキスをしてやる。途端に真っ赤になり、口をぱくぱくとさせた。
「いいよ。ちゃんと断ったんだから、そんなやつ気にするなよ。それより、もっと笑ってよ。怒った顔もかわいいけど、せっかく二人でいるんだから笑顔がみたい。」
そう言うと、伊集院は真っ赤な顔でとても嬉しそうに笑い、俺に抱きついてきた。
「し、しょうがないな。忍が言うなら、そのことはもう忘れる。」
それで話は終わるはずだったんだけど、この先ちょっとだけ面倒なことに巻き込まれることになる。
[ 254/459 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
top