×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




1

99999ヒット、徹様リクエストで『嫌われからの溺愛』です。


頑張ります!
ではどうぞ♪

-----------------

「はい、じゃあ隣の人と二人組になってー」


体育の時間、準備体操の時に先生が言った。佐山航平(さやま こうへい)は、自分と組む相手をちらりと見る。



「…最悪。」



とても可愛らしい顔をしたそいつは、自分を見てとても嫌そうな顔をして舌打ちをし、そう吐き捨てた。

「一樹くん、じゃあ俺と代わりに組もうよ!」
「い、いや、僕とぜひ!」
「いや、いいよ。先生の指示だからね。みんなに迷惑かけちゃいけないから佐山とやるよ」

次々に名乗りを上げる男達ににこりと微笑んで、くるりとこちらを向いた。

「なにぼけっとしてんだよ。僕に恥かかす気?しょうがないから組んでやるから早く終わらせようぜ」
「ごめん」

謝る佐山にまた一つ舌打ちをし、嫌そうに背中合わせになる。


秋元一樹(あきもと かずき)。とても可愛らしい顔をしているこの男は、この男子校において、アイドル的存在だった。誰にでも分け隔てなく優しく、明るく頭もいい。
その秋元が唯一嫌う男。それが、自分。


初めてあったのは二年になってクラスが一緒になってから。佐山は秋元を初めて見たときに、天使が現れたのかと思った。
――――一目惚れしたのである。
何とか仲良くなりたかったが、彼と自分は席も離れているし友人も違うため接点がなく、佐山は遠くから気付かれないように秋元を見るので精一杯だった。だがある日、チャンスが訪れた。日直が一緒になったのだ。ドキドキしながら、勇気を出して自分から話し掛けた。


「あ、秋元。日誌を頼めるかな。俺が黒板消しとかするからさ」
「…なにそれ。僕が背が低いからってイヤミ?」

じろりと睨まれ、佐山はびくりと体を竦ませた。

「え、いや、そんなつもりじゃ…」

確かに秋元は自分より背が低い。178ある自分と167しかない秋元。佐山はさっと顔を青ざめる。どうしよう。秋元の字はとても綺麗だ。前の日直で日誌を見たときに、見惚れてしまうほどだった。

日誌には、その日の日直を書き込む欄がある。佐山は、秋元の字で自分の名前を書いてほしかった。

「…ご、ごめん…」
「佐山ってさ、いつも人の顔色伺ってるよな。僕、お前みたいなやつ嫌いなんだよね。日誌やってやるから、ほかのこと全部やってくれる?」
「わ、かった…。ごめ…」
「何に対して謝ってんの?偽善者。もう話しかけんな」


秋元は、言うなりこちらを見ることはなかった。佐山は震える腕を隠してそっとその場を離れ、黒板を消しに向かった。



その日から、秋元は佐山にだけとても冷たい態度を取るようになったのである。
佐山は言われた通り、自分からは二度と話しかけることはなかった。だが、クラスが同じである限り多少の接点はある。そのたび、秋元は嫌そうな顔を隠そうともせず佐山本人の目の前で辛らつな言葉を吐き捨てるのだ。

準備体操をしながら初めて嫌われていると知ったあの日を思い出し、佐山は自嘲気味に笑った。

[ 274/459 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]


top